「宮廷女官チャングムの誓い~大長今~完全版」第五回の感想

「宮廷女官チャングムの誓い~大長今~完全版」第五回を見た。

http://www3.nhk.or.jp/kaigai/chikai/story/story_05.html


センガクシたちの料理の技の競い合いから始まる。

夜、提灯を持った内人に先導されて、センガクシ達が列になってやってくる。年下の子が前の列、年嵩の子が後ろの列だ。部屋に入ると、一番前の列は、チャングム、(第54回でチャングムのこどもとなる)女の子、ヨンセン、ヨンノがすわっている。後ろの方の列に、チョバンなどの年長のセンガクシ達がすわっている。

センガクシ達のまわりには、内人達が立っている。

そこへ、チェ尚宮が入って来る。続いて、チャングムに四阿で松の実刺しのこつを教えてくれた女の子も。その子が入ってくると、あれがチェグミョンだとヨンノが教えるので、チャングムがびっくりする。クミョンは、ヨンノの隣に座る。

さて、チェ尚宮が競い合いを始めようとすると、クミョンが、課題を変更してください、と言い出す。

「わたしは、最高尚宮様やチェ尚宮様から贔屓されていると思われています」

贔屓しているなどとは、と怒るチェ尚宮。(煽っておいて今更)宥めるように付け加えるクミョン。

「わたしは宮中に入ったときに既にみんなの水準を飛び越していたので、わからないのです。だから、日頃、みんながやっていて、わたしがやったことのない、松の実刺しをやってみてはどうでしょう」

「松の実刺し」と聞いて喜ぶチョバン。しかし、次にクミョンが言う。

「灯を消してやってみてはどうでしょう」

チェ尚宮「それは、おもしろい。松の実刺しは、指先の感覚を鍛えるためにするもの。どれだけ日頃の努力をしているかがわかる」


灯を消して松の実刺しの競い合いをして、終わってからチェ尚宮が年上の子達から順番に見ていくと、チョバンは四個出来ていたが、他の子はほとんど、一個も出来ないか、一個しか出来ていない。一番前まで来ると、チャングムが八個も出来ているのを不思議そうに見る。ヨンノは二個、出来ていた。そして、クミョンは、二十個、出来ていた。チェ尚宮は誇らしそうにほほえむ。

チェ尚宮は結果を発表し、これでわかっただろう、と言う。クミョンはおとなよりも料理の腕が優れている。おまえたちと競わせるのはおまえたちに手本を示すためなのだ。

そして、贔屓しているなどといって、チェ尚宮や最高尚宮まで侮辱した皆に罰を与えるというチェ尚宮に、クミョンは、みんなはわからなかったのだから仕方がありません、これで思い知ったでしょう、許してやってください、という。

そのうえ、クミョンは、御褒美を二番目の子に譲りたい、と言う。いつも自分が一番になって実家に帰ることを許されるからみんなから恨まれているのだと。

そりゃあ、そうだ。お手本にするために競い合いに出させて、当然のように一番になって、それで御褒美に実家に帰ることを許されていたんだとすると、これって、初めから出来レースじゃないですか。


ところで、二番目の子とはチャングムである。チェ尚宮が、松の実刺しも、このまえの黄砂のひどいときに食器をお湯を沸かして洗ったように、母上に教わったのか、と尋ねる。チャングムは、クミョンに教わったのだと言う。チェ尚宮は、なるほど、とにんまり笑う。

しかし他のセンガクシ達は、チャングムはずるい、と大ブーイングである。あの(第54回でチャングムのこどもとなる)女の子なんか、口を尖らせてからだを横に動かして肘でチャングムを突くようにして、よう怒りを表わしとる。

チャングムの味方はヨンセンだけで、眉を顰めてみんなを睨むように見回している。ヨンセンもチャングムと一緒に目を瞑って松の実刺しの練習をしていたからね。でもチャングムは寝る間も惜しんで床の中で横になりながら練習を続けていたほどで、努力も人一倍したうえで人一倍の結果を出したのである。それをヨンセンは認めているけれど、他の子は、ただクミョンに贔屓して貰ったとしか思わない。


チャングムはハン尚宮の部屋に泣きながら入って来る。ハン尚宮は何か小さな手芸をしながら、だから宮中では口を慎みなさい、と言ったの、という。

「わたしのこの口が、いつも失敗するんです」

と言いながら自分の口を叩くチャングム。なんだかおしゃまでかわいくておかしい。

しかし時がたてば忘れられるから、みんなに謝って、後はあまり気にしないようになさい、というハン尚宮。

チャングムが、それでも、御褒美は御褒美ですから、家に帰ってもいいんですよね、と言うと、ハン尚宮は、笑って、そうね、と言う。するとチャングムは、ヨンセンに御褒美を譲りたい、と言い出す。どうしておまえは決まりに従うことができないの、と叱るハン尚宮。クミョンがチャングムに御褒美を譲ったのはいつも自分ばかり御褒美を貰っているからで、チャングムがそのまねをするのなんか十年早い、というところか。

しかしチャングムは、ヨンセンのおかあさんが心臓病で具合が悪くて、ヨンセンが泣いてばかりいるから実家へ帰らせてあげたかったのだ。事情をきいてハン尚宮も、それではヨンセンを訓育しているチョン尚宮にお話ししてみましょう、と返事する。


さて、チャングム、水剌間の作業場に行っても、センガクシ達の作業の輪の中に入れて貰えない。文字通り爪弾きされてこけたところへ、ヨンセンが駆け寄る。

「おねえさんたち、チャングムはいい子です!」

チャングムは、ヨンセンに、わたしをかばうとヨンセンまで仲間はずれにされるわよ、と言うが、ヨンセンは、
平気よ、ハン尚宮様がチョン尚宮様にお話ししてくださって、家に帰れることになったの、お薬とごちそうも、持たせてくださるの、だからチャングムにありがとうと言いたくて、走ってきたの。
と言う。

良かったね、ヨンセン、と言って手をつなぐチャングム。このときのふたり、かわいい~!!

かわいいヨンセンとチャングム、スキップして、宮廷の正門じゃなくて通用門みたいなところへ。ヨンセンは手を振って出かけて行く。それを見送ってチャングムが振り返ると、クミョンがいた。

「どうしたの。家へ帰らなかったの」

チャングムは、改めて、クミョンがしたことは間違っている、という。

「どう間違っているの。わたしはみんなを懲らしめることができてすっきりしたし、あなたは御褒美がもらえるし、良かったじゃない」
「でも、そんなのおかしいです。間違ってます。わたしは仲間はずれになりました」
「じゃあ、わたしと話をすればいいわ。あなたをかばってあげる」
「お断りします」

チャングムは、クミョンの友達になるということと、子分になることとは違うんだ、と言いたかったのだと思う。この後もずっと出てくるヨンノと比べるとよくわかるが、ヨンノは一所懸命チェ尚宮やクミョンの子分になって、それでチェ一族の一員に加えて貰えたと思って喜んだり威張ったりする。でも、それは違うんだ。仲のいいもの同士だけで情報を共有して他の人を出し抜くのが親友、というわけじゃないんだよ……。


さてさて、スクス(熟手)のカンドックおじさんは、内侍府の長官(尚醞)と水剌間の最高尚宮とチェ尚宮に呼ばれて、熊の掌の料理をするように言われる。尚醞が、水剌間で初めての料理だとか言ってたけど、放送の第一回で、燕山君の宴会の準備のときに、カンドックとは別のスクス(熟手)が最高尚宮から熊の掌の料理を頼まれていたぞ。まあそれはともかく、カンドックおじさんは、熊の左手より右手がいいとか、左利きの熊の場合は左手の方がいいとか、熊は利き手で蜂蜜を採るんだとか、言ってます。カンドックの言うことには、いつも半分、ほらがまじっている。

とにかく、カンドックは、熊の掌を使って自慢の料理を作り始める。どの料理でもそうだけど、実に野菜をたっぷりと使うことに感心する。とてもおいしそうだ。

出来上がった熊の掌の料理を、王様と賓客のいる、大きなりっぱな四阿ふうの建物に運ぶ。内侍や宮女や別監がたくさんいる。最高尚宮とチェ尚宮が運んできた料理を気味尚宮や至密尚宮が受け取り、毒味をして、王の前に進める。王は、熊の掌の料理を食べてみて、おお、お
いしい、と感心する。チェゴサングンとチェ尚宮とは、ほっとしてほほえみかわす。このときの笑顔は、あのミョンイを殺したこわい最高尚宮とは思えない程、柔和だ。

王様の前から下がってきた最高尚宮とチェ尚宮は、カンドックに会って、王様からお褒めの言葉があったとねぎらい、次に誕生日の宴の料理について打ち合わせをする。ことしは凶作だったので、万事質素に、熟手は五十人程集めて、ただし王様のための薬膳料理についてはとびきりいいものを、という最高尚宮。カンドックおじさんはこの最高尚宮にも充分信頼されていた。

司餐院の前の広場に、カンドックと一緒にお酒を納めに来たナジュテクやイルトもいる。チャングムが来て、トック達と話していると、チェ尚宮が来て、カンドック夫婦に話があるという。トックたチェ尚宮についていこうとするのをナジュテクが止めて、自分が付いて行く。

万事に抜け目のないおばさんなのだ。


チェ尚宮は、カンドックの養女だというチャングムは、二年前、男の子の格好をして来たのではないか、と尋ねる。二年前、ときいて、ピルトゥが家に来てチャングムのことを尋ねたナジュテクおばさんは、咄嗟の機転で、いやいやチャングムは、男の子の格好をして来たことなんかない、親戚の硯職人の娘で、両親が山賊に殺されたから引き取ったんです、と言う。おばさん、すばらしい機転だ!

この場面、吹き替え版では、チェ尚宮が、チャングムが男の子の格好をしていたことに言及する場面と、ナジュテクがピルトゥのことを回想する場面とが省略されていた。ふたりとも「二年前」のことを思い浮かべて、一方はチャングムの正体を探り、一方はチャングムの正体を隠す。ナジュテクおばさんの御蔭で雰囲気は明るいが、実はたいへんきわどい、緊迫する場面だ。

なお、前の第四回の放送では、カンドックとハン尚宮とが、「二年前」のことに言及して、一方はチャングムの世話を頼み、他方はパクミョンイの行方を探すように頼んでいた。


さてさて、司餐院の前の広場では、カンドックはどこかへ行ってしまい、イルトが干し柿を出して、チャングムに与えていた。チャングムの大好物なのだ。イルトはチャングムに、宮廷づとめはつらくないか、つらかったら一緒に逃げようか、と言う。でもチャングムは、すぐに慣れるから、という。ふられたイルト君。ちょっと、がっかりしていた。

そこへナジュテクが帰ってきて、チャングムに、おまえはチェ尚宮様と親しいのかと訪ね、別に特に話をしたことがあるわけではないと知ると、おまえはわけありのかたまりだから、気をつけるように、と釘を刺す。

ここまでで、チャングムが、ハン尚宮にミョンイのこどもだということがわからなかったかわりに、チェ尚宮にもまた、ミョンイのこどもだと気づかれずに済み、何とか安全にハン尚宮の教育を受けることができるようになったことがわかる。

更に、チャングムにとって幸運なことには、あのミョンイを毒殺させた最高尚宮が退くことになるのだ。あのこわいおばさんがいたら、またチェ一族は何か陰謀に手を染めるかもしれないし、そこに今度はミョンイじゃなくてハン尚宮あたりが気づくかもしれないし、緊迫した状況のなかで、やっぱりチャングムはミョンイの娘だということが、百戦錬磨の最高尚宮とその指導を受けているチェ尚宮に気づかれてしまったかもしれない。

しかし、百戦錬磨のこわいチェ最高尚宮も、寄る年波と病気には勝てなかった。ほんとうはチェ(ソングム)尚宮に次の最高尚宮を譲るときまでいるつもりだったのだが、からだが言うことをきかなくなっていた。後の場面で、チェソングムはまだ尚宮になってから三年もたっていない、と、内人達が仕事をしながら話している。最高尚宮は内医院の医女の診察を受けると病気が治らないほど重いとわかった場合にすぐに宮中から退かなければならなくなるので、街の医者をチェソングム尚宮に呼んでこさせる。医者の診断の結果は、あと数箇月の命、とのこと。

そんなつらい話をしているときに、よりによってまた、女官長が女官部屋の抜き打ち検査にやってくる。その晩は、ミン内人の親友も駆け落ちしようとしていた。多事多端な晩だった。抜き打ち検査の結果、賭け事の道具やお酒や春画が見つかって、女官長はかんかんになって、側近を従えて、最高尚宮の部屋に行く。

駆け落ちしようとしていた内人は、抜き打ち検査のために、待ち合わせの場所に行けなくなる。

待ち合わせの場所にいる別監。チャンオを被って走ってくる人を見て、恋人だと思ってつかまえたら、なんと、最高尚宮の部屋から下がってきた医者だった。

女官長が、最高尚宮の部屋で、最高尚宮とチェ尚宮の監督不行き届きを叱っていると、武官達がやって来る。医者を連行してきたのである。とうとう、最高尚宮が、夜、男の医者の診察を受けたことがわかってしまった。こうなると、最高尚宮は宮廷を退かなければならない。

それに、医者を手引きしたチェ尚宮も。

チェ尚宮の遣いから事の次第を聞いたチェパンスルは、オギョモヨンガム(呉兼護令監)に頼み込み、最高尚宮の退職は仕方がないが、チェ尚宮は宮中に残ることができるようにしてもらう。しかし、チェ尚宮が最高尚宮の後を継ぐことは、やはり、できなかった。


宮女達は噂話に花を咲かせる。ミン内人とその親友は、ハン尚宮が次の最高尚宮になればいい、と言う。しかし、別の内人は、チェ尚宮が次の最高尚宮になる、と言う。

センガクシ達が室内で作業をしているとき、チョバン達年長の者は、別監が最高尚宮の部屋から下がってきた医者をつかまえたときのことを話している。そこに通りがかった、ミン内人の親友の内人は、「カン様」こと、その別監の悪口を言ったら承知しないわよ、と叱りつけてから通り過ぎる。この場面は、吹き替え版では、なかった。こんなにはっきり、あの内人が、恋人を庇う場面があったとは。

チャングムはハン尚宮の部屋で差し向かいで本を読んでいる途中で、次の最高尚宮が誰になると思いますか、と質問する。自分には何のことかわからないけれど、先輩達が噂話にふけって仕事をせず、そうすると尚宮に叱られ、叱られた先輩はチャングム達年下のセンガクシに当たる、というのである。ハン尚宮は、おねえさんたちの分までがんばって仕事をしなさい、と言う。はい、というチャングム。こういうのをほんとうの英才教育というのかもしれない。将来、人の上に立つこともできるように完璧な躾をしている、と思う。


女官長とオギョモヨンガム(呉兼護令監)は、これまで五代続けて最高尚宮を輩出したチェ一族から次の最高尚宮も出てくれたほうが、賄賂もとれるし陰謀にも使えるし、便利なのだが、諸般の事情から今はチェソングムを最高尚宮にすることができないのならば、短期間のつなぎのために、傀儡としての最高尚宮を選ぶことにした。

そこで女官長が白羽の矢を立てたのが、醤庫にいる、チョン尚宮だった。ヨンセンの訓育をしてくれている尚宮である。両班の出身で、女官長よりも年上で、かつてチェ最高尚宮と実力伯仲だったが自ら身を引いて風流に生きている人である。

ミン内人が、チョン尚宮を呼んでくるようにと女官長から命じられて醤庫に行くと、チョン尚宮は、チャングム、ヨンセン、チャンイなどを相手に、歌を歌っていた。

チョン尚宮の歌について
私は、朝鮮の古典的な歌謡というと、パンソリを映画で聞いたことがあるだけなので、パンソリみたいな発声と節回しだなあ、と思ったが、時調というものらしい。

チョン尚宮は、ミン尚宮が女官長の命令で呼びに来たと言っても、女官長が何のようだ、面倒くさいと、歌を続ける。最高尚宮になってほしいそうです、と言うと、最高尚宮なんかまっぴらだ、おまえがおなり、と言って歌い続ける。困ってしまうミン内人。

しかし、チョン尚宮も、やっと、女官長の部屋に来る。そこで水剌間の最高尚宮になるようにと言われるが、実質的には女官長の言うことさえきいていればよい、という意味のことを言われて、どうせ傀儡にするつもりだな、と悟りつつ、意を決して引き受ける。

チョン尚宮が宮廷の庭の池のそばを歩いていると、内侍府の長官と擦れ違った。チョン尚宮は考え込んでいて気づかずに通りすぎかけるが、長官;が、人形遊びを始めるつもりかな、と言うのをきいて、はっと気がついて挨拶するチョン尚宮。一人遊びに飽きたのでこんどは皆さんに遊んでもらおうと思います。長官は、お手並み拝見しよう、と言って笑って通り過ぎる。


チョン尚宮はヨンセンを連れて、最高尚宮の部屋に後継を引き受けることを報告に行く。最高尚宮の部屋には、チェ尚宮、クミョン、ヨンノがいる。つまり、今までクミョンは最高尚宮に訓育を受け、ヨンノはチェ尚宮に訓育を受けていた……ようだ。

最高尚宮が、たいへんなことをそなたに引き受けさせてしまった、と言うと、チョン尚宮は、チェ尚宮だけが便りです、チェ尚宮がいるからこそ引き受けたようなものです、と言う。チェ尚宮と最高尚宮は、内心にんまりしている。クミョンとヨンノも、このようすだと、これからもチェ一族が水剌間の実権を振るい続けることになるな、と理解して、まだこどもながらも目配せし合ってにんまりする。ヨンセンも小さいながらも空気を察して、「なによ」という顔でいる。こういう空気が読めないのはチャングムぐらいであるが、彼女の師匠のハン尚宮にしてからが、あんまり空気を読んで処世にうまく立ち回ることを潔しとしない人だから、今後もその方面での成長は望めそうにない。

ハン尚宮とチャングムが本を読んでいると、新しく最高尚宮に就任したチョン尚宮がヨンセンを連れてやってくる。チョン尚宮に上座を譲ってすわりなおすハン尚宮とチャングム。チョン尚宮が、どうしておまえだけがわたしのところに挨拶に来ないんだい、と尋ねる。ハン尚宮は、チョン尚宮の気性を知る者として心配している、最高尚宮になることはお似合いではないように思う、と答える。チョン尚宮は、楽な生き方がいいか、苦しいけれども正しい生き方がいいか、どちらがいいか、とヨンセンに尋ねる。ヨンセンは楽なほうがいい、という。

チャングムは、チョン尚宮様ならどちらか選べるのですか、わたしは苦労はいやなのに、つらいことばかりあるんです、と答える。それをきいて、チョン尚宮が大笑いし、ハン尚宮も笑い、ヨンセンとチャングムも、笑ってしまう。

不治の病で宮廷を退かなければならなくなったチェ最高尚宮が宮廷を出て行くところは描かれなかったが、今度、他の年老いた尚宮が宮廷を出て行くところや、病気の尚宮が尼寺で療養するところが、ドラマの重要な場面として出てくる。宮女の最後は寂しいものだ、というせりふも何回か出てくる。チェ最高尚宮が宮廷を出て行くとき、チェ尚宮やクミョンは、どんな表情で見送ったのだろうか。特にチェ尚宮にとっては、友達だったミョンイを手にかけなければならなかった、という恐ろしい罪を、今までは、叔母のチェ最高尚宮が主導し一緒に背負ってきてくれたが、これからは自分ひとり宮中に残って背負い続け、しかも、一族の繁栄のために、自ら更に罪を重ねることも覚悟しなければならない。どんな孤独な気持ちがしたことだろうか、と思う。まあ、テレビの画面では、この回の話では、そういう場面は全然ないけれど、今後の物語が進むにつれて、チェ尚宮の背負った厳しい孤独が伝わってくるような気がする。それを、チェ尚宮役のキョンミリが内に籠らずにあけっぴろげに演じているのがいいなあ、と思う。でもその分、クミョンが、暗く沈んだ苦しみを引き受けてしまったみたい。

何はともあれ、画面では描かれなかったがチェ最高尚宮が退き、チョン最高尚宮の登板である。王様の朝食を作るために水剌間に行って、チェ尚宮をあわてさせる。まさか自分で作るとは思っていなかったのだ。チョン最高尚宮は、高句麗の秘伝の味のメッチョクという、下味を付けた豚肉の照り焼きを作る。その他の料理も作って、王の御膳を出す。王は、とても満足し、チョン最高尚宮の話の上手なことも気に入る。

女官長は、チョン最高尚宮が王に気に入られてしまい、ただの傀儡にするつもりだったのにどうも雲行きが怪しい、と感づいて警戒し始める。

新しい最高尚宮が就任すると、水剌間の宮女達は全員が揃って料理をお相伴する。皆が一堂に集まったところで、チョン最高尚宮は、センガクシのクミョンが、チェ尚宮の向かい側にすわっているのを見て、なぜ内人達を飛び越えて上座にすわっているのか問い質す。チェ尚宮は、前の最高尚宮のときからの慣行で、クミョンにはずばぬけた味覚があるので、料理の評を任されているのだと答える。

そこでチョン最高尚宮は、和え物の味見をさせて、味付けに使ったものを答えさせる。途中までは見事に答えたのだが、肉の下味に使ったものは何かと尋ね、クミョンが自信たっぷりに答えるのをきいた後、皆もそう思うか、と全員に尋ねる。

ここで、例の名場面だ。


チャングム「柿でございます」

チョン最高尚宮「そなた、今なんといった」

チャングム「砂糖ではなく、熟した柿でございます」

チョン最高尚宮「なぜ熟した柿だと思った」

チャングム「わたしは、ただ口の中で肉を噛んだら、柿の味がしたので、なぜ柿だと思うかときかれましても、柿の味がしたから、柿を使っていると思ったので……」

チョン最高尚宮「あっははははは、そなたの味覚はずばぬけておるなあ。言われてみれば、なぜ柿の味がしたかと聞いたわたしが愚かだった。熟した柿です。熟した柿は砂糖より甘みが柔らかく淡白で、このような和え物にはよいのではないかと使ってみた。しかも柿は、季節の変わり目にはかぜの予防になるうえに、二日酔いにも効く。王様はきのうお酒を召し上がったのでな。皆、よくお聞き。料理というものは、作り手の腕には差があっても、味を見る人には、つまり味覚には差がない。従ってこれからは、料理についてはわたしはもちろん、あの端にすわっている者も、お互いに率直に話し合って刺激を与えながら努力していこう。努力を惜しまず、切磋琢磨して実力を付けた者には年に関係なく機会を与えることにしよう。いずれは、この最高尚宮の座も実力のある者に譲りたいと思う。だから皆、しっかりと精進しなさい。(クミョンにむかって)だからおまえも、自分の席にお戻り。さあ、長くなってしまった。戴きましょう」


再度、強調:「料理というものは、作り手の腕には差があっても、味を見る人には、つまり味覚には差がない。従ってこれからは、料理についてはわたしはもちろん、あの端にすわっている者も、お互いに率直に話し合って刺激を与えながら努力していこう

つまり、クミョンのように味覚が優れているからという理由で先輩を飛び越えて上座に座ることも出来ないが、また、下座だから、末席だからと遠慮して料理の批評が出来ないわけでもない、ということなのだ。料理の批評は相手の料理の腕前とは関係なく、平等に、謙虚に聴き、作り手は切磋琢磨しておいしいものを作っていきましょう、ということでしょう。

これは、後に、チャングムが味覚を失ったとき、ハン尚宮が、「味を描く能力」でそれを乗り越えさせようとし、またそれをチョン最高尚宮も受け入れようとしたことにまで、つながってこないだろうか?


さて、チョン最高尚宮が、
「努力を惜しまず、切磋琢磨して実力を付けた者には年に関係なく機会を与えることにしよう。いずれは、この最高尚宮の座も実力のある者に譲りたいと思う。だから皆、しっかりと精進しなさい」
と言ったことが、チェ尚宮に怒りを煮えたぎらせた。

チェ尚宮の部屋では、怒りを湛えて、身の程知らずめが、とつぶやくチェ尚宮の前で、クミョンが、悔し涙を流していた。チェ尚宮は、クミョンに、もう泣くのはおやめ、これからはわたしたちが一族を背負っていくのだから、権力でも料理でも、負けてはならない、と言う。

クミョンは、半分上の空で、はい、と言った。

その後、チェ尚宮がクミョンの料理の修業を指導する。目を瞑ってでも正確に調味料を量れるほどになり、味を調和させること。チェ一族の秘伝の味を覚えること。クミョンも、料理の修業は、上の空どころか、全身全霊をこめて真剣である。

一方の、ハン尚宮。チャングムに向かって、あしたから、水剌間の裏山で、食べられる野草を一種類ずつ、百日間、採ってきなさい、と言う。つまり、百種類の食べられる野草を見つけるわけだ。
「いや?」
と笑いながらハン尚宮がきくと、チャングムは、
「いいえ!」
とうれしそうに返事をする。

そして、チャングムは、毎日、百日間、食べられる野草を採ってきたり、甘いものを調べたり、塩辛いものを調べたり、火を調べたり、水を調べたり、毎日、それはもう、水剌間と裏山とを走って、走って、走って、遠くなって小さくなった影が画面から消えたな、と思ったらまた小さい影が帰ってきて、だんだん近づいて大きくなってきたと思ったらほんとに大きくなっていて、イヨンエのチャングムが登場したのであった!!

一秒で十年が過ぎるテレビドラマの便利さ。
「ライフイズビューティフル」でも、女の人が温室の中に入っていくと、一秒後に七歳の男の子が出て来た。映画も便利なものだ。




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この記事へのコメント

2007年02月11日 10:21
毎度毎度のみゅうみゅうです。
今回もよろしくお願いします^^

もう小さなチャングム見れないのかな?悲しい。。。
terutell
2007年02月11日 16:08
みゅうみゅうさん、こちらこそ、毎度ご贔屓に預かり、ありがとうございます。
小さなチャングムは今後も回想シーンで何度も出てきますよ。
2007年02月12日 11:28
>初めから出来レース
なるほど、そういう考え方も出来ますね。周りの子は嫉妬しますよね。たとえ、努力をしていなくても・・・・とはいうものの意地悪な先輩も勝つための努力はしていたわけだし(ヨンノから情報を仕入れ、それに絞って練習)。やり方が表面的なのでだめなんでしょうね。本質のところで努力しないとということか。
terutell
2007年02月13日 18:00
stanakaさん、こんばんは。

>やり方が表面的なのでだめなんでしょうね。本質のところで努力しないとということか。

そうですね! 今、関西のほうでは「サンテレビ」で「ホジュン」をやっているのですが、それを見ていても、表面的なことではだめで、本質的なところで努力しなければいけない、っていうことがよくわかります。「ホジュン」もおもしろいですね!!
桂奈
2007年02月17日 06:13
terutellさん

お久しぶりです。突然、こちらに来訪したわけは、以前チャングムで、教えていただきました、キムチソンの息子、キムヒソンの名前をお借りしたく、参上いたしました。terutellさんに、うっかり無断で使用してしまいました。以前、教えていただいたときに、使いたいです・・・とコメントしたままでした。もしよろしければ、お返事をいただけたらと思います。あ・・・無理でしたら、無理と仰ってくださいね。迂闊ものの私が、まだ懲りもせず書いております。本当に突然で勝手なお願いです。よろしくお願いいたします。

terutell
2007年02月17日 06:33
桂奈さん、お久し振りです。キムヒソンのなまえ、どうぞ御自由にお遣いください。以前から他にも使っている方々がいらっしゃいますし、新たに使う場合に前以て御連絡いただかなくてもいいですよ。あとから、この作品で使っているよと教えていただければ、読みに参ります。
桂奈
2007年02月17日 07:46
突然の申し出を了承していただき、有難うございます。本当に朝早くから、ご迷惑をおかけしました。きょすくさんのサイトで、また書かせてもらっておりますが、宮廷に無事帰り、もうそろそろ私の話も終わりかな・・・と思っております。もしよろしければ、見に来てくださるとうれしいです。では、またお会いしましょう。
桂奈
2007年02月17日 08:05
terutellさん

最近パソの調子が悪く、このコメントの前に、お礼の返事を書きましたが、届きましたでしょうか?本文に、載っていなかったので・・・?すみません。改めて、有難うございます。安心して使わせていただきます。
桂奈
terutell
2007年02月18日 11:57
桂奈さん、こんにちは。コメントはちゃんと掲載されています。どうぞお気遣い無く。

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