てるてる日記

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zoom RSS 坂東真砂子さんのエッセー全文を読もう!

<<   作成日時 : 2006/08/30 13:30   >>

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二つ前のエントリー「そこに空地があるから」に、eireneさんが付けてくださったコメントが、たいへん重要な内容を含んでいるので、こちらにまとめて転載します。


***eireneさんのコメントより***
話題を呼んでいる坂東眞砂子さんのエッセイ「子猫殺し」ですが、日経夕刊「プロムナード」欄に、彼女は7月7日から週一回エッセイを連載しており、「子猫殺し」は連載の第七回目に当たります。今日、図書館に出かけて、第一回からの文章を通読してみました。猫好きの坂東さんが、なぜあのような文章を書き公表したのか、その理由について、かなり見通しがよくなりました。時間のある方は、図書館で日経夕刊を複写し、通読されることをお勧めします。

ネットでの反響を少し調べてみました。坂東さんの件のエッセイですが、やはり第七回の連載だけが、不幸なかたちで一人歩きをして、坂東さんの問題提起が読者にうまく伝わっていないように思われます。

動物の命を奪うという、かなり際どい内容を含んだ文章だけに、読者の側に心の準備ができていないと、坂東さんが読者に投げ込んだ剛速球を受け止めるのは難しいですね。受け損ねると、かつてペットを失った時の悲しみや、抑圧されたトラウマがよみがえることになります。きっこさんのような反応が起きるのも、無理はないと思わされました。

幸いにして、坂東さんのエッセイを、7月7日の連載から順番に読んでいきますと、彼女がなぜ猫エッセイを書くことになったのか、そのいきさつが読者にも、ある程度分かるようになっています。そして、猫を間引くあの話は、猫を飼わない者にとっても、ひとりひとりの死生観、現代文明のあり方について、鋭く問いかける内容を含んでいます。

よって、繰り返しになりますが、連載を最初から読まれることをおすすめします。タヒチ島の人々の暮らし、自然環境、坂東さんのユーモアを味わうことができる箇所もあり、エッセイの連載全体は、陰鬱なものではありません。

「第七回」のなかで、彼女は間引きをする理由を少々語っていますが、ほんとうは「第一回〜第六回」が「第七回」の説明なのですね。

しかし、彼女は猫の間引きをするために、あのエッセイを書いているわけではなく、日本からタヒチに移住することで、日本にいた時と比べ、いかに自然観、死生観、人間観が変容していったのか、そのありさまを読者に提示しているのです。

猫の間引きのエピソードは、その一つ。愛猫家であった坂東さんは、昔から大好きだった猫とどうつきあうか、タヒチの生活で、巨大な問いを突きつけられてしまったのだと思います。その結果を「第七回」で書いた。タヒチでの生活というコンテクストなしに、あのような振る舞いに彼女が及んだとは、思えなかったです。

補足です。通読してみた感想を、ちょっとだけ書いておきます。私の印象では、坂東さんが綴っているのは「避妊手術」「間引き」のどちらの悪が少ないか、という問題ではないように思います。坂東さんは、たまたま昔風のやり方を選んでいますが、エッセイを読むと、多くの愛猫家が行っている「避妊手術」が絶対にいけないとは言っていません。彼女が、このエッセイで問題にしているのは、「殺しという嫌なこと」を誰が引き受けるのか、というテーマです。

たとえば、都会でハンバーガーを食べるとき、多くの人は屠殺の場面を想像しません。豚汁を食べるときに、豚が殺される場面を想像しません。誰かの手にゆだねて、おいしい食事をしています。「死刑賛成!、犯罪者をつるせ」と言っている人は、死刑執行人の公務員の人に、いやな仕事を押しつけていますが、そのことをあまり想像しません。ブッシュ大統領は、アメリカ兵を戦地に送り、沢山殺しているのに、自分は戦地には行きません。

人生で、何かを「殺さ」なければいけない場面があります。誰もがやりたくない仕事があるとき、それを他人の手にゆだねるより、敢えて自分で選び、殺す方がいいという主張が、猫エッセイの底にあります。私は愛猫家ではないのですが、他人に動物を殺すという仕事をゆだねて、おいしい肉を食べてばかりいる、自分の食生活にはやっぱり問題があるな、とエッセイを読み、反省させられました。

図書館で読むべき項目を挙げておきます。

日本経済新聞夕刊・金曜日・プロムナード欄

7月7日  第一回 生と死の実感
7月14日 第二回 肉と獣の距離
7月21日 第三回 付喪神のいる島
7月28日 第四回 天の邪鬼タマ
8月4日  第五回 風の明暗をたどる(山頭火)
8月11日 第六回 魚市場の女呪術師
8月18日 第七回 子猫殺し
8月25日 第八回 名前はまだない


 今後も連載は続くようです。



***eireneさんのブログ***
2006-08-23
■[思想]坂東眞砂子さんのエッセイの件
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20060823
2006-08-26
■[思想]坂東眞砂子さん、高知新聞インタビュー
■[生活]動物との関わり
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20060826
2006-08-27
■[思想]坂東眞砂子さんのエッセイへの反響
■[生活]動物の間引き
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20060827
2006-08-29
■[思想]坂東眞砂子さんのエッセイの件
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20060829
2006-09-01■[思想]生と死の境界線
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20060901
2006-09-02■[思想]坂東眞砂子さん、猫関連スレッド紹介
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20060902


***antonianさんのブログの下記コメント欄も参照***
あんとに庵◆備忘録 2006-08-28■[島犬日記]猫飼い 22:01
http://d.hatena.ne.jp/antonian/20060828


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 生命倫理の問題として、田口ランディさんが『子猫を殺すこと』をエントリーしています。前日のコメント欄に書いたことなんですが、今日、病院に行った待ち時間に院内の図書館で、日経夕刊に連載された坂東真砂子さんのコラムを読みました。やはり、〓『子猫殺し』だけの記 ...続きを見る
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てるてるさん、どうもありがとう。追加です。

9月1日 第9回 「畏まりました」の背景
eirene
2006/09/02 16:10

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