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zoom RSS 臓器移植法改正B案とC案についても報道を

<<   作成日時 : 2009/06/07 02:42   >>

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衆議院厚生労働委員会での臓器移植法改正案の審議では、A案、D案が軸になって議論されていると、新聞でもテレビでも報道されている。

確かにそのとおりだが、B案やC案についても、提出者以外にも、言及した議員もいるし、そこには重要な論点も含まれているのに。

マスコミは、今回の臓器移植法改正の審議が、海外渡航移植に頼らざるを得なかった人々のために臓器提供をふやさなければならない、という目的によって始められ、長期脳死児の事例と移植待機児の事例とを並行して報道し、脳死を人の死とするかどうか、が争点になった、というストーリーで、報道し続けている。

そして、B案やC案に言及する議員がいても、それは本筋からはずれるサイドストーリーとして、報道から捨てている。

しかし、サイドストーリーにも、重要な論点がある。

おとなでもこどもでもとにかく臓器提供には本人の事前の書面による同意の意思表示を必須の要件とすべき、という立場からは、
B案=C案>D案>>(論外)A案、
の順に支持できる。

しかし、事前に書面によって同意の意思表示をする人には臓器の提供先に親族を指定する特権が与えられるべき、という人からは、
B案>A案>C案=D案、となるであろう。

(B案は12歳以上の人に臓器提供の意思表示の機会とともに同意の意思表示をした場合には臓器の提供先に親族を指定する特権も与えるが、A案は臓器提供の意思表示のできる年齢を引き下げるとはしていないので、提供先に親族を指定する特権も引き下げないのだと思われる)

そして、事前に書面によって同意の意思表示をする人からのみ、臓器提供ができ、なおかつ、親族優先権が与えられるべき、という人にとっては、
B案>A案=C案=D案、
となるであろう。

C案とD案は脳死移植の親族優先提供を認めていない。

そして、今回の臓器移植法改正案では、唯一、C案だけが、生体移植についても規定する項目を臓器移植法に追加しようとしている。

それについて、ぬで島次郎さんが、「マル激トーク・オン・ディマンド」などで取り上げ、国会では逐条審議をするべきだと述べている。

マル激トーク・オン・ディマンド
第424回(2009年05月23日)臓器移植法に改正が必要な理由

生きている提供者の保護のための法改正試案および研究対象者保護法試案
(200309.ぬで島次郎他)

ところが、C案のくわしい内容について、テレビや新聞が報道することは、ほとんど、無い。

マスコミは、移植患者団体が海外渡航移植のために募金を集めると美談に仕立てて騒ぎ立て、その後で倫理学者などに倫理的な慎重意見など述べさせて、結局、臓器移植をふやすための建設的な議論の足を引っ張る、と、あの大ヒットベストセラー小説『チームバチスタの栄光』の登場人物にも批判されていたが、まったく、今国会での臓器移植法改正の議論でも、移植待機児対長期脳死児の美談対決仕立てにして、結局、臓器移植をふやすための建設的な議論の足を引っ張っていると言わざるを得ないだろう。

何を言ってる、B案、C案は臓器提供をほとんどふやさないと思われるから無視しているのに、と反論されるかもしれないが。

目先の臓器提供件数をふやすと短絡的に思われる改正案だけを報道していればいい、ってもんじゃない。

2ちゃんねるの既婚女性板の「我が子の臓器提供できますか?」というスレッドを見ていると、見ず知らずの他人に臓器提供するのはいやだが、身内になら臓器提供してもいい、という投稿が、結構、多い。

厚生労働委員会の審議でも、D案提出議員に対して、どうして、事前に書面によって同意の意思表示をする人に臓器の提供先に親族を指定する特権を与えないのか、という質問が、何度も、出てきた。それに対して、D案提出議員は、移植医療は公平性を理念に掲げているので、と答えている。

この公平性というのは、提供された臓器は医学的適合性緊急性の順番に従って分配されるべき、ということと、もう一つ、匿名性の原則を守るべき、ということとがある。

脳死臓器移植で提供先を指定しなかった場合、ドナー家族と、レシピエントおよびレシピエントの家族は、お互いを知らないままである。

臓器の提供先に親族を指定した場合は、ドナー家族はレシピエントの親族にもなる。

生体移植では、それはふつうのことなのだが、苦痛の多いものであることは、以下の研究などが明らかにしている。

「生体肝移植ドナー体験者の会」と「家族社会学研究〜『家族愛』の名のもとに:生体肝移植〜」

脳死移植で親族優先提供をできるとした場合、事前に意思表示をする機会のある人や、その家族、親族が、生体移植の場合と同様の精神的苦痛を感じる可能性はないだろうか?

だいたい、親族優先提供を臓器移植法で認めた国は、まだ一つもないのだ。

見ず知らずの他人に臓器提供するのはいやだが、身内になら臓器提供してもいい、という人が多いのは、公共の利益や公共の福祉ということが日本人には理解できないのか、日本人は利己主義なのか、と、悲しく思うときもある。

しかし、また別の考え方もできるようにも、思う。

2ちゃんねるの既婚女性板の「我が子の臓器提供できますか?」スレッドには、次のような投稿がある。

249 :可愛い奥様:2009/05/31(日) 01:03:21 ID:uEJBUBq90
現状では、提供する側の係累には‘誰かの中で生きている’というファンタジーが押し付けられ
提供される側は他人のファンタジーに巻き込まれないよう保護されているわけですね


これは、臓器移植における匿名性の原則を批判したものである。

匿名では、ドナー家族とレシピエントとが、一緒に、ドナーの死を悼むことができない。

それが移植医療における、大きな欠落と、なっているのではないだろうか。

親族優先提供では、匿名ではなくなるが、生体移植と同様の苦痛を、ドナー側もレシピエント側も担うようになることもありえる。

しかし、親族優先提供ではなく、不特定の人に提供した後で、ドナー家族とレシピエントとがお互いに相手を知ることができるようにすれば、匿名の「冷たさ」が緩和されるのではないだろうか?

USAでの臓器移植の歴史をたどると、初期には、匿名性の原則はなかったが、ドナー家族とレシピエントとがお互いにあまりにも強く結びつきすぎてさまざまなトラブルや苦痛が大きかったために、匿名性の原則が確立された、しかし、ドナー家族、特にこどもの臓器提供をしたドナー家族がレシピエントを知りたいという欲求は強く、マスコミなどを利用してレシピエントと知り合ってしまう事例もあり、現在では、移植コーディネーターが仲介してドナー家族とレシピエントとが交流できるガイドラインも作られている。

日本でも、移植コーディネーターが仲介してドナー家族とレシピエントとが交流できるガイドラインを作ったほうがいいのではないか?

それが、臓器提供をふやすことにもつながらないだろうか?

今国会での臓器移植法改正案には、この点について取り上げたものは一つもない。

だが、考えてみてもよい論点だと思う。

"transplant community" の二つの意味

ドナーとレシピエントの交流について

National Communication Guidelines 抄訳

Pamela Albert (CPTC) の論文抄訳・部分訳

David Lewino(CPTC)の論文抄訳

LaRhonda Clayvilleの論文抄訳

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本当にこのまま採決されて良いのだろうか?
 今国会(2009年6月8日現在)で、臓器移植法の改正案についての議論がいちおう盛んになって来ているようです。しかしその「盛ん」の内容が気になっています。  「枯れ木も山の賑わい」というか、全体を把握せず、一つ二つのわかりやすい論点だけを無理に選び出して、そこだけを「盛ん」に議論して、あとはわかりにくいので放っぽり出したまま(小泉さんが仕掛けた郵政選挙みたいな感じ。郵政民営化ばかり叫ばれて、後はわけわからんことにしてしまった。その結果の一つが現今のいわゆる「ワーキングプア」問題。)で「事実とし... ...続きを見る
Just a Little Bit of...
2009/06/08 16:03

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