てるてる日記

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help リーダーに追加 RSS 「宮廷女官チャングムの誓い〜大長今〜完全版」第十七回の感想

<<   作成日時 : 2007/05/13 15:59   >>

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「宮廷女官チャングムの誓い〜大長今〜完全版」第十七回を見た。

http://www3.nhk.or.jp/kaigai/chikai/story/story_17.html

チャングムは、寺の境内をチョンホと一緒に歩きながら、言った。

「わたし、ハン尚宮様をうらめしく思っていました。結果が出なかったので、厳しく当たられるのだと思ったんです。いつもは褒めてくださる方ですから。確かに、わたしは必死にやりました。でも、まちがっていました。わたしがした努力は、人に勝つための努力だったからです。ここに来てからも、わたしは特別な秘訣をききだそうとするばかりでした。だけど、それはまちがいでした。門外不出の特別な秘訣なんて、何もなかったんですもの。
真心と手間。
わたしが小細工をして早く乾かした米は、尚宮様のお心に届かず、お寺のおじさんの米だけが、尚宮様を動かしました。ですから、ハン尚宮様が、才能が仇になったとおっしゃったんですね。才能より、大切なことがあったのに」

「うらやましいです。すばらしいお方に仕えておいでだ。目先のことにとらわれ、うわべだけの人生を送ることのないよう、戒めてくださったのでしょう。わたしは信じています。
今回はうぬぼれたかもしれない。
でもチャングムさんは、料理を作るときは、食べる人が笑顔になってくれるよう、心を籠める人です。
人間の心を忘れる人ではありません」

「でもチャングムさんは、料理を作るときは、食べる人が笑顔になってくれるよう、心を籠める人です」とチョンホが言った時、クミョンが大きな瞳を潤ませて、建物の陰から現れていたことを、ふたりは知らない……まるで「ジョーズ」の音楽が聞こえてきそうな場面である……。
http://www.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0000201625/


チャングムにとって、雲岩寺への追放は、料理人として、なくてはならない、かけがえのないものを手に入れる機会となった。「真心と手間」の大切さを悟っただけでなく、なんと、寺男のおいしい山菜料理の「秘訣」まで、手に入れてしまう。

この回は、前半は、チャングムが寺男のおいしい山菜料理の「秘訣」を手に入れて雲岩寺を去るまで、後半が、せっかくチャングムが水剌間に戻ってきてハン尚宮にも許されたのに、今度は、チョン最高尚宮が水剌間から退出させられるまでの話だ。



「まだ大きな筆を使っているんですか」

カンドックが、チャングムが竈のそばに置き忘れた帳面と筆を持って来てくれたのを見て、ミンジョンホは言った。トックはチョンホを連れてお酒を飲みに行ってしまった。チャングムは、四阿の石の椅子にすわって、帳面を開く。そのようすを見ていたクミョンは、ひとりさびしく、寺を出た。

クミョンは、酒幕に泊まり、部屋のなかで、チョンホへ贈ろうと思った料理を詰めた風呂敷包みを見ながら、チャングムに初めて会った夜のことを思い出した。チャングムがヨンセンを連れて退膳間に忍び込もうとしていた、ミンジョンホは科挙に合格して王様からお茶を戴いていた、あの夜のことだ。
わたしはその方のことが、すきだったんだけど、親に女官にされてしまったの。
知ってるでしょ。女官は、王様の女だってこと。
わたし、きょう、はっきりわかったの。
わたしが思いを寄せてはいけないお方だ、って。
その方は両班で、わたしは中人。
その方は、王様の家臣で、わたしは、王様の女だもの。

だけど、クミョンは、おとなになってからも、内禁衛に勤めるミンジョンホを、いつもそっと眺めていたのだ。クミョンの瞳から涙が一滴、頬に流れた。

そんなこと、ミンジョンホもチャングムも、思ってもみないだろう。

翌日、クミョンは、市場を歩いていた。そこへ、ミンジョンホも歩いてくるのに気づいた。チョンホは一軒の店に入っていく。クミョンはほほえみ、彼を追いかけた。そして、今にも、声をかけようと思って、彼の後ろ姿を見ていた。そのとき、聞こえてきたのだ。


「小さな帳面に書くのだが、もう少し細い筆はあるか」

クミョンの顔はこわばった。チョンホは、店の主人が出した細い筆を見て、優しい笑顔を浮かべている。チャングムのための笑顔だ。

クミョンは、チョンホに声をかけないで、その場を去った。

海岸を歩く、クミョン。彼女の心は、凍ってしまいそうだ。

クミョンがほしかったものは、ささやかなものだ。チョンホの優しい言葉、優しいほほえみ。それだけで、料理人としての自信も信念も確かなものとなり、ひとりでも、孤独でも、生きていけるのに。

だけど、そのささやかなものが手に入らないとわかったとき、しかも、自分と同じ女官のチャングムがそれをいとも簡単に手に入れていると知ったとき、クミョンの心は傷つき、血を流し、毒を持ち始める。チャングムもハン尚宮もチョン最高尚宮も、その犠牲にしてしまう。

クミョンが水剌間に帰ったとき、二回目の料理の競い合いの課題が出されていた。
チェ尚宮「さすが、皇太后様ね。わたくしたちに有利な課題よ。四季を通じて食べられる魚の刺身を工夫せよ、と」
クミョン「でも、今の季節、生の魚を運ぶのは」
チェ尚宮「この国でただひとり、魚を生きたまま宮中まで運べる商人がいるでしょう」
クミョン「パンスルおじさまですね」
チェ尚宮「そのとおり。氷を手に入れられるのも、宮中を除いては、兄上しかいません。これは皇太后様が、早く競い合いを終わらせたいと思っていらっしゃる証拠よ」
クミョン「それでは、次の競い合いで、ハン尚宮様とチャングムは、終わりということですか」
チェ尚宮「そのとおり。止めを刺してやる」


クミョンに見られていたとは知らないミンジョンホは、チャングムに、買って来た細い筆を差し出す。自分が使っていた物だから、気にせずに、と言って。こういう細かい心遣いは、照れなのか、それとも、男から贈り物を貰うチャングムが咎められないようにするためか。

ミンジョンホ「これをどうぞ」
チャングム「あら」
ミンジョンホ「わたしが使っていたものです。何本も持っているから気になさらずに。その大きな筆を、見るたびに気になって」

秘訣をきいてばかりいたときと違って、山菜を干す方法をきいてまわるチャングムに、寺男は親切に教えてくれていた。そこへやってきたミンジョンホから、チャングムは、ありがたく細い筆を戴いて、またすぐに、くるっと向きを変えて、寺男に、山菜を干す方法を聞き続けた。こちらも、本気で山菜のことに夢中なのか、それとも、照れなのか、チョンホに迷惑がかからないようにしたいのか。

チャングムは、皇后の保母尚宮を心を籠めてお世話していた。それでも、とうとう、亡くなってしまったとき、その手を開いてオルゲサルを握っているのを見て、再び、手を閉じた。寺男も、カンドックも、ミンジョンホも、医務官チョンユンスも、保母尚宮の死を、憐れんだ。そして、お葬式。ミンジョンホとチョンユンスがお堂のなかで礼拝し、寺男やカンドックやチャングムや、お寺で働く作務衣の女達が、お堂の外から祈りを捧げた。

味噌玉を作っていたお寺でもそうだが、作務衣の女達が働いている。

お弔いが終わって、ミンジョンホとカンドックの後ろから歩いていくチャングムに、寺男が声をかけて、台所へ連れて行く。そして、「秘訣」を教えてくれたのである。

寺男「毎日のことなんで、わたしは気にも留めなかったんですがね。
味噌チゲや山菜の和え物に、この粉を少し入れるんです。煮干と、干したしいたけや山菜をあれこれ入れて、塩と一緒に粉にしたものを入れると、ぐうっと味がよくなるんですよ。それに、場合によっては、煮干のかわりに、干した肉を擂り潰して加えることもあります。
これも秘訣ですかね」
チャングム「あ、ええ。ええ、もちろんです」
寺男「じゃあ、この粉を持って帰りなさい。こんないいものを知らないだなんて、考えてみりゃあ王様も、かわいそうなお方だなあ」

菜園に追放されたときもそうだが、絶望するほどの罰を受けるたびに、余人には及びもつかない大きな成長を遂げてしまう。それがチャングムの強みであり、後に、ハン尚宮が、「おまえは、投げ出されても花を咲かせる花の種」と言った所以でもある。

チャングムは、うーんと低く地面に押さえつけられると、今度は元の倍以上の高さまで飛び上がる、護謨鞠のようなものだ。

そんなチャングムと、ミンジョンホは、ずっと一緒に遊んでいたい、と思ったのに違いない。お寺の門を出て、美しい紅葉の並木道を歩きながら。

ミンジョンホ「名残惜しいですか」
チャングム「はい」
ミンジョンホ「わたしもです」
カンドック「わたしもですよ。うちに帰ったって、女房にいたぶられるか。あるいはつるしあげられるか。山菜みたいに干されるか。はたまた、稲穂みたいに叩かれるか。チャングム。おれ達、ここで暮らそうか」
チャングム「おじさんったら」
カンドック「名残惜しいって言ったじゃないか。チョンホの旦那だっておっしゃっただろう」
チャングム「でも、やはり競い合いがどうなっているか、気になりますから」

競い合いがなかったら、三人で一緒に暮らしていたのか? そのうち、チョンホとチャングムは仏前結婚をして、カンドックは花嫁の父として涙を流すことになっていたのか……? なんて、夢物語。

そんな和やかなおしゃべりをしながらお寺を出て来たチャングムと、心も凍る寂しさと怒りと嫉妬にまみれてお寺を出てきて、さらに市場で傷ついて、ひとり、海岸をたどったクミョンと。この対比は、きつい。


*閑話休題
字幕版と吹き替え版とでは、細かい違いがいろいろあるが、そのうちの、二つを取り上げてみる。

(1)チャングムが寺男に山菜を干す方法をきいていたときのせりふ

吹き替え版「和え物にするテンニンソウやモミジハグマ(紅葉白熊)、キリンソウなどの山菜は、強い日差しで一気に乾かすために、庭や屋根に干すんですね」

字幕版「和え物にする山菜は、強い日差しで一気に乾かすために、庭や屋根に干すんですね」

なお、モミジハグマ(紅葉白熊)は、日本では、あまり、料理に使わないようである。

○モミジハグマ(紅葉白熊)
http://koedokawagoe.web.infoseek.co.jp/pho841.html
http://www.invil.org/japanese/speciality/vegetable/contents.jsp?con_no=114144&Menu_no=21875&cate=cate3&sub_no=0&page_no=1

(2)女官長が二回目の料理の競い合いの課題を教えるときのせりふ

吹き替え版「皇太后様より、次の課題を頂戴した。近頃、王様は、おなかの調子が悪くおなりで、医者に肉類を禁じられたため、おからだが弱くなるのではと、皇太后様は案じておられる」

字幕版「皇太后様より、次の課題を頂戴した。近頃、王様は、皮膚の病のため、医者に肉類を禁じられたため、おからだが弱くなるのではと、皇太后様は案じておられる」

王が、胃腸が丈夫でないことは、料理試験のときから言及されていた。一方、皮膚の病のあることは、チャングムが医女になってから、言及されている。王の持病は、ドラマ全体に関わる重要な要素なので、もとの韓国語では何と言っているのか、気になるところである。


チャングムも水剌間に帰って来た。クミョンににらまれて、なんで、と合点がいかない表情。水剌間で並んで料理を作っている時も……。

チャングム「ハン尚宮様はまだ許してくださらないみたい。わたし反省したんだけど。ずっとこのままだったらどうしよう」
クミョン「手に入らないものがあってもいいでしょう」
クミョンの独白「むかしからわたしがずっとほしかったもの。誰にも打ち明けずに、胸の内に秘めてきたものを、あなたは、手に入れているのだから」

クミョンはもう、チャングムに、
「味覚が戻ってきて、うれしいわ。あなたはわたしが認める唯一の好敵手だもの」
と言ったときのクミョンではなかった。料理に関しては好敵手でも、恋のライバルは邪魔者でしかない。

クミョンは、チェ尚宮の部屋に行き、これからは、心を入れ替えて、チェ一族のために尽くします、と言う。そして、最高尚宮の秘伝の料理書を読んで勉強するというので、チェ尚宮は喜び、いかにも、ワルそうにほほえむ。威厳と毒のある笑いである。かつて、ミョンイを死に追い遣ったことを泣いていた彼女も、その後、一族のために手を汚すことをいとわない人になっていた。そして今度はクミョンが同じ道を歩もうとしている。よく考えたらこのときはまだ、クミョンは、チャングムを死に追い遣ったわけではなく、つまりまだ、取り返しのつかない罪を犯してはいない。それでも、ミンジョンホをめぐる嫉妬心から、チェ一族のためにはどんな悪行も厭わなくなる。

「わたしを受け容れてくれるのは、料理と、チェ一族だけですから」


クミョンが、一族のために生きる決心をした直後に、さっそく、彼女の力量が試される事件が起きた。チェ尚宮が押入れに隠していた最高尚宮の秘伝の書が、なくなっていたのである。どうしてなくなったのか、チェ尚宮は、ムスリのホンイや内人のヨンノ、ヨンセン、チャンイに尋ねて、その経緯を知った。

内禁衛の武官が、女官の宿舎を捜索したのである。それは、東宮殿の壁に檄文を張った別監が、宿舎に逃げ込んだからであった。捜索のために、尚宮達の部屋は荒らされて、何もかも引っ繰り返されてしまった。チョン最高尚宮は、内人達に、部屋を片付けるようにと命令したが、捜索のときから立ち会っていた彼女は、最高尚宮の秘伝の書を、チェ尚宮の部屋の引っ繰り返された書物の山の中から見つけ出してしまった。

秘伝の書は、今や、最高尚宮自身が持っている!

そう気づいたチェ尚宮は、もはや料理の競い合いどころではなかった。秘伝の書を持っていることをクミョンに説明したときには、我が一族が五代に亘って受け継いできた物を一族以外の者になんか渡せない、と言っていたが、だからって、女官長がチェ尚宮に渡してしまったことが、皇太后にでもばれると、女官長ともども、罰せられてしまう。

クミョンにとっては、料理の競い合いで実力でチャングムと争う機会は、これで奪われてしまった。それよりも、最高尚宮の秘伝の書をチェ尚宮が隠し持っていたことが、皇太后の耳に入らないようにするための対策を練ること。これこそが、彼女がチェ一族のために生きる、能力と意志のあることを示す絶好の機会であった。クミョンはこの機会を最大限に利用する。チェ尚宮が舌を巻くほどに。


一方、内禁衛に帰ったミンジョンホは、長官から、東宮殿の壁に檄文を張った別監を捕えたという話を聞く。もともと、東宮殿の者がやったのではないかと言ったのはミンジョンホだったらしい。この事件は、後のチョガンジョ(趙光祖)の失脚に連なる重要な事件らしいが、ドラマのなかでは、これ以上の言及は、ここではない。ずっと後になって、チャングムが医女になってから、ミンジョンホがオギョモに言うせりふに、「モンミョク山に見つかった死体は、」というものがあるが、それが、このときに捕えられていた別監が、オギョモらの手によって闇から闇に葬られた、ということだったらしい。

そして、ミンジョンホは、成均館の学田の人参の収穫量は減っていないのに、チェパンスル商会に横流しされていた、と長官に報告する。

長官は、管轄の役所に話をする、と答えた。

このときに、その管轄の役所がちゃんと仕事をして、チェパンスル商会とオギョモとの癒着を暴くことが出来ていたら、後に硫黄家鴨事件でハン尚宮とチャングムが捕えられることはなかったのに。だけど、その管轄の役所からして、既にオギョモの手に落ちていたんだねえ。


さて、宮中では、かぜがはやっていた。水剌間でも、センガクシや内人が数人と、ミン尚宮までが、かぜにかかって、休んでいた。チャングムは、雲岩寺の寺男が教えてくれた、かぜに効く、クコ粥を作った。そして、ヨンセンといっしょに、ハン尚宮様はまだ怒っていらっしゃるの、と言ったり、四季を通じて生で食べられる魚の刺身は見つかったのかしら、と窺ったりしていた。チャングムは、カンドックに、魚のことをききにいこう、と考えて、司餐院の方へ行った。

司餐院の前の広場は、チャングムがカンドックやおかみさんと話をしたり、チェ尚宮やクミョンがチェパンスルと話をしたりと、宮殿の内部と外部とが接触する、お決まりの場所となっている。またチャングムが菜園に追放されていたときには、司餐院に種を取りに来た帰りにカンドックやクミョンと話をした。宮中に物資を納入する商人達が集まるこの場所は、物資とともに情報の流通する重要な場所で、何度もドラマのなかに登場する。

きょうもきょうとて司餐院の前の広場では、カンドックがおかみさんにどやされていた。内禁衛の従事官と仲がいいのなら、お酒を内禁衛に納めさせてくれるように交渉してこい、というのである。そんな、個人的な交誼を商売に結びつけるのはよくないと、カンドックもわかっているんだけど、おかみさんに、お酒を納めさせてもらえなかったら家に入れてやらない、と言われて、渋々、内禁衛に出かけて行く。

その後に、チャングムが来た。チャングムはおかみさんに、四季を通じて生で食べられる魚を知りませんか、ときくが、知らない、との答え。じゃあ、トックおじさんなら、知っているかしら、というと、あの人が知ってるわけないだろ、あたしが知らないのに、との答え。それでもきいてみたい、というと、おかみさんは、じゃあ、勝手にききな、と答えた。

ここからが、吹き替え版ではカットされていた場面である。カンドックは、内禁衛の武官達が休憩している場所に行く。そこで、おしゃべりをしている二人組に、ミンジョンホが一番好きなものは何ですか、と尋ねる。
兵士一「そりゃ、俺たちの訓練と読書だ」
兵士二「いや違うよ、『立身出世』だ」
カンドック「『立身出世』って、どこで売っているんですか」

そして、カンドックは、『立身出世』を持って、ミンジョンホの部屋を訪ねた。ここからは吹き替え版でも放送された部分である。

ミンジョンホ「これは何ですか」
カンドック「どうぞ、肌身離さず、お持ちください。
人に見せてはなりません。世の中が揺れ動きます。それは懐の奥深く忍ばせて使う、お札でございます。
それはかの有名な、魏の王様も使った、非常に霊験あらたかなものなのです。
それをチョンホ様がお使いになれば、必ずや、内禁衛の長官様になれるでしょう」
ミンジョンホ「必要ありません」
カンドック「必要ない? せっかく、わたくしがいっしょうけんめい、書いたってのに」

カンドック、今度は、山へ行って、「人参」を採ってきた。それを風呂敷包みに入れて、ミンジョンホの部屋を訪ねた。ミンジョンホ、チャングムさんのお料理の入った風呂敷包みをあけたときとは全然違う、乱暴な手つきで、風呂敷包みをあけた。

カンドック「それは口にすると、すぐさま仙人になれるという高麗人参でございます」
ミンジョンホ「これは蔓人参にそっくりですね」

カンドック、内禁衛の建物の外に出て、庭をぶつぶつ言いながら歩いている。その後ろから、ミンジョンホが来た。

「まだここにいたんですか」

カンドック、今度こそ、とのいきごみで。

「そうだ。ヒャンソンを御存知ですよねえ。
おや。芸者のヒャンソンを御存知ないとは驚いた。あの橋を渡ってちょっと行きますと、ケウォルという料亭があります。その店に入って、廊下の一番奥の、右のお部屋です。わたしがヒャンソンを待たせておきますので、チョンホさまは、ふふふ……」

ミンジョンホ、怒髪天を衝いた。

「いいかげんにしろ。さっきから袖の下をちらつかせて、大目に見てやったのに。どこまでわたしを侮辱するんだ。贈賄の罪でひっとらえるぞ」

カンドック、泣きそうになってぺこぺこ頭を下げて謝る。ミンジョンホ、トックが頭を下げている間に、そっとほほえむ。さっきからの怒った顔は演技なんだね。で、トックが顔を上げると、また、こわい顔。女房に家に入れてやらないと言われたので仕方なく、などと泣きごとを並べるトックにつきあってそろそろと内禁衛の外へ向かって歩いていると、後ろのほうから、
「おじさあん」
という声。トックと一緒に振り返ったミンジョンホ、途端に、雪山に陽が差して氷が解けるような笑顔。

カンドックさん、だからですね、ミンジョンホ様が一番好きなのはチャングムさんなんですから、最初から、娘を差し出します、って言っておけば……
「ここは兵士の訓練をする場所です。代わりに、わたしのうちに運んでください。武官達をうちに招いて、一緒に飲むことも多いですから」

そして、ミンジョンホは、優しくほほえんで御辞儀して、内禁衛へ。わかりやすい男だ。そんなことでいいのか。一応、公私のけじめはつけているが。ほんとは、うちへ運んでほしいのは、お酒じゃなくて、チャングムじゃないの?


チャングムは、水剌間に戻った。ハン尚宮は、壺の中から、魚の刺身を出していた。それを味見して御覧、とチャングムに言ってくれた。
「尚宮様。噛み締めるといい味がします。魚の刺身に比べてとても歯ごたえがあり、最初は鼻につんときますが、口の中もさっぱりとし、後味はあっさりですね」
「それはガンギエイの刺身よ。全羅道の海沿いに住む人が食べるのよ。全羅道から来た人と、偶然でくわして教えていただいたの。四季を通じて食べられる刺身としては、うってつけだわ。
帰る途中、医者にきいてみたら、痰を切り、消化を促進し、血の巡りを良くし、腸をきれいにするそうよ。だから、王様にはとてもいい食材だと思うわ」

チャングムは、ハン尚宮に、許していただけるんだすね、ね、ね、ねー、と甘える。叱りながらもついてこさせるハン尚宮。部屋に入ってから、改めて、話してくれた。
「わたしはおまえがどんな子かよく知っています。でも、人間というものは、知らず知らずのうちに、変わっていってしまうものなの。切羽詰った状況に置かれると、そうすることが正しいかどうかを見極めずに、取り敢えず問題を解決しようと飛びついてしまう。そのうち、それが正しいという錯覚に陥り、そういう生き方をするうちに、それに慣れて道理を見失い、目先のことしか見えなくなってしまう」

チャングムは、尚宮様は亡くなった母とそっくりです、と言い、ハン尚宮とほほえみあう。

この場面は、「ホジュン」の、ホジュンがユウィテに破門を解かれてユ医院に戻ったときと比較するとおもしろい。ユウィテも、許す、とはっきりとは言わず、ただ、ユ医院の病舎にいる病人を診察しろというだけである。その前に、ふたりとも県監の往診を頼まれて、かちあったときに、ユウィテがホジュンに譲る場面があるが。

ハン尚宮は、チェパンスルが財力にものをいわせて氷をたくさん使って海水にいれて運んで来た魚が、みんな死んでしまったことを、カンドックからきいて知っていた。それに対して、がんぎえいのほうは、ちょうどいい味に仕上がってきている。今度こそ勝ちに行くわよ、とはりきっている、ハン尚宮とチャングム。


チェ尚宮は、女官長と一緒に、チョン最高尚宮の部屋を訪ねて、次回の競い合いは負けるから、最高尚宮の秘伝の書を隠していたことを皇太后に言わないでくれ、と交渉する。が、最高尚宮は取り合わない。だいたい、わざと負けなくても、負けているのだよ。このときはまだ、チェ尚宮も最高尚宮も知らないけど。

追い詰められたチェ尚宮と女官長に、天が味方する。宮中ではやっていたかぜは、疫病だった。それがわかったのは、競い合いの前の晩遅くである。既に休んでいる最高尚宮を呼ぶ代わりに、女官長の部屋にいたチェ尚宮を会議に呼んだ内侍府の長官。ああ、あなたが、ここでもっと注意して、最高尚宮を呼んでいたら、この後の展開は、違ったものになっていたのに。

司餐院の提調オギョモに召集された会議で、女官達や別監達が隔離されることになった。出席した女官長とチェ尚宮は、以心伝心だった。この機会に、最高尚宮も隔離してしまえ。

チェ尚宮は、王命を伝える役人の大殿別監のユンマッケと、オギョモから手を回して貰ったらしい監察の内人とを、最高尚宮の部屋に向かわせる。このふたりが来て、王命により、隔離しなければならなくなった、と言われると、最高尚宮も抵抗できないらしい。

内医院の医女を呼んで確かめさせろ! とか、言えないのね……。

宮中から出て行く女官達や別監達の列の流れに加わる、チョン最高尚宮。ふと立ち止まり、宮中を見返る。その顔に浮かぶのは無念の表情か……。


翌日、いよいよ競い合いの日。前の晩、ハン尚宮とチャングムは退膳間の当番だったので、疫病と隔離の騒ぎを知らなかった。

そんなことでいいのかな。疫病に罹っていないのか、誰も確かめに来なかったの? そんなことじゃ王様の安全は守れないのでは?

女官長は皇太后に、水剌間の責任者のチョン最高尚宮がはやり病に倒れたと報告し、チェ尚宮が対策をとってくれていると報告する。このいかにもチョン最高尚宮が責任を果たせないと強調し、チェ尚宮を売り込む女官長のやりくちは、この後も、ハン尚宮を徹底的に貶めるところまでいき、また、皇太后が手もなく騙し続けられる。こんなに簡単に騙される皇太后も、だめじゃないか、と思う。

女官長が、尚宮達に、疫病対策に取り組むように指図する。ハン尚宮は水剌間の消毒を任された。水剌間に戻って来たハン尚宮とチャングムに、ヨンセンが、最高尚宮は持病はあったけど疫病に罹っていなかったのに、隔離されたのはおかしい、と訴える……。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
チャングムの誓い・完全版 vol.17 疫病と策略
クミョンは、チョンホがチャングムに心惹かれていることを知って、 チャングムに激しい憎しみを抱く、そんな場面から始まった今回。 でも、クミョン。 誰にも相談せず、 本人にさえ一言も言わず(そーゆー時代だったとしても・・・)、 いつも物陰から隠れて見るだけ。 もう少しチョンホとチャングムの間に入っていってもいいのでは? もう少し・・・。そう思います。 何もせず、何も知らない人を憎む、なんか悲しいよ。間違ってる。 悲しいなぁ、そんな憎み方。 心の中でつぶやいたこの言葉・・・↓ 「私がずっと欲しかったも ...続きを見る
美味−BIMI−
2007/05/24 16:41

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