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zoom RSS 臓器移植法改正案についての刑法学者の意見

<<   作成日時 : 2005/04/15 09:43   >>

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刑法学の立場から、河野太郎衆議院議員の臓器移植法改正私案を批判し、日本小児科学会の提言を支持し、本人の意思表示原則を守るべきと述べているブログがあります。
特に、ドイツで、息子の脳死臓器提供をした方が、20年たって、そのことを後悔している事をテレビ番組で発言し、移植推進派の人と議論しているのを見た、という記事は注目です。

刑法授業補充ブログ
strafrecht.exblog.jp
http://strafrecht.exblog.jp/

2005/07/09追加続報
脳死・臓器移植法研究会(第2回)
http://strafrecht.exblog.jp/2232481


日本小児科学会「現行法における小児脳死臓器移植に関する見解」について
http://strafrecht.exblog.jp/1468616/
私は以前に15歳未満の未成年者からの提供については、「個別判断方式」を提唱したことがあるが、個別判断方式は不安定であり、その判断手続が困難であるなどの批判をうけた。いまでも個別判断方式が正しいと考えているが、もしそれが受容されえないのならば、12歳までなら引き下げは認めて良いと思う。その上で、12歳未満の者に対して個別判断方式をとりえないかどうか、小児科学会のいうように検討を続けて行くべきだと考える。


河野私案の検討(作成中)
http://strafrecht.exblog.jp/1466304/
また忘れてはならないのはそのような状況に追い込まれ、決断を迫られる家族の負担の大きさである。私は最近ドイツに短期出張する機会をえたが、その際臓器移植をテーマにしたARD(ドイツの第一公共テレビ局)のトークショー番組(Menschen bei Maischberger(29.03.2005))を見た。その中で20年前に事故で脳死になった息子の臓器の提供に同意したことがある女性の教師(Renate Greinertさん)が、そのことを後になって後悔するようになり、脳死に対する疑問も大きくなってきたということを語り、推進派の医師との間でかなり激しいやりとりがあったのが印象に残った(ドイツ刑法研究ブログ3月29日)。このようにドイツでも決断を迫られた場合の家族の苦悩は大きなものであるということが実感された。この点で私はやはり本人の自己決定権を基礎にする現行法の立場は、たとえ脳死説を採用するとしても堅持すべきであると考えている。まして脳死が死との死であるということについて疑問が払拭されないのであれば、なおさらであろう。したがって自らも臓器の提供の体験者であり、患者の要望を理解されて、そのために少しで改善したいという河野議員の努力は貴重なものであるが、本人の自己決定権や家族の負担ということも考慮した上で提供数を増やすための手段が他にないのかということを慎重に検討すべきであろう。


町野朔・長井圓・山本輝之編『臓器移植法改正の論点』(書評)
http://strafrecht.exblog.jp/1464393/


*参照1

ドイツ刑法学研究ブログ
http://iuscrim.exblog.jp/

Chronik in Deutschland (Marz)
http://iuscrim.exblog.jp/1236156/

2. Ersatzteillager Mensch
3月29日(火)に放映されたARDのトークショー番組Menschen bei Maischbergerでは1997年に弟Florianから腎臓移植をうけた元F1レーサーNiki Lauda、やはり8年前に心臓移植をうけた旧DDRの陸上競技金メダリストHartwig Gauderの移植の体験談と、ハイデルベルク大学の移植医Prof. Dr. Markus Buchlerが今年初めにおきた自らも関与した狂犬病感染臓器移植事例(Tollwutfalle)と臓器の提供の不足について、教師のRenate Greinertは、20年前に事故にあった息子の臓器の提供に同意したことを後悔し、臓器移植と脳死概念に疑念を持つようになった経緯をそれぞれ語った。特にGreinertが脳死で妊娠が継続できることや脳死者から臓器摘出がなされる場合になぜ麻酔がなされるのかなどの点でまだ脳死が必ずしも人の死であることに対する疑念が払拭されていないことを強調してたことが印象に残った。これに対して Niki Laudaはオーストリーの反対意思表示方式を支持したが、ドイツでもそれらが可能かどうかについてはBuchlerからも慎重な意見が出された。


3月23日(水)
安楽死問題
アメリカにおけるSchiavo事件を契機としてドイツでも安楽死問題が、再び論争を呼び起こしている。ドイツ連邦医師会会長Jorg-Dietrich Hoppeはすべての形態の積極的安楽死に反対し、疑わしい場合には生命の有利に判断すべきだとする。CDUのHubert Huppe はドイツ法の厳格な要件を緩和する必要はないとするのに対して、SPDのバイオエシックス専門家Wolfgang Wodargは, 書面のリヴィングウイル(Patientenverfugungen)の必要性を指摘するが、覚せい昏睡患者(Wachkomapatienten)を生命維持装置から切断することは許されないとしている。Justizministerin Brigitte Zypries (SPD) は覚せい昏睡患者や痴呆症患者にもリヴィングウイルn を認めようとするのに対し、SPD, Grunen および CDU/CSU(Union)の一部はこれを否定する。 Zypriesを支持するのは SPD議員団の法政策スポークスマン Joachim Stunkerである。FDPもリヴィングウイルの拡大 に賛成している。同党議員団長Wolfgang Gerhardtは法的安定性の観点からそれを擁護している。


*参照2

Menschcen bei Maischberger
http://www.daserste.de/maischberger/archiv.asp

29.03.2005
SENDUNG VOM DIENSTAG, 29. MARZ 2005, 23.00 UHR
Niki Lauda und sein Bruder Florian
http://www.daserste.de/maischberger/sendung_dyn~uid,0uahz7oegjq7bd05cu9sj8kn~cm.asp
1997 musste sich Niki Lauda einer Nierentransplantation unterziehen. Der Organspender: sein Bruder Florian. Seitdem lebt der mehrfache Formel 1-Weltmeister mit drei Nieren.
Bei ihrem ersten gemeinsamen Auftritt in einer deutschen Talkshow sprechen die Bruder uber ihr Leben nach der OP, ihre pragmatische Beziehung zum menschlichen Korper und die Bedeutung der Transplantation fur ihr bruderliches Verhaltnis.

Hartwig Gauder
http://www.daserste.de/maischberger/sendung_dyn~uid,j5pakl1l313ob07dcqxshj70~cm.asp
Der fruhere Leichtathletik-Olympiasieger lebt seit acht Jahren mit einem neuen Herzen. Bereits ein Jahr nach der lebensrettenden Operation lief er den New York-Marathon. Im Sommer 2003 bestieg er als erster Empfanger eines fremden Herzens den fast 3.700 Meter hohen Fuji in Japan.
"Ich bin der gleiche Mensch wie fruher", betont Hartwig Gauder, der sich vor zehn Jahren eine schwere Herzmuskelentzundung infolge einer Virusinfektion zugezogen hatte. In Menschen bei Maischberger spricht der ehemalige DDR-Sportstar uber sein Leben mit dem neuen Herzen und sein Engagement fur Organspenden.

Prof. Dr. Markus Buchler
http://www.daserste.de/maischberger/sendung_dyn~uid,bl30q5dpchwn8tas9tf8ifj5~cm.asp
Der Direktor der Chirurgischen Universitatsklinik Heidelberg war Anfang des Jahres an der Verpflanzung von tollwutinfizierten Organen beteiligt. Zwei der Empfanger starben. Prof. Dr. Markus Buchler ist uberzeugt, richtig gehandelt zu haben: "Niemand konnte das ahnen oder die Situation voraussehen".
In Menschen bei Maischberger spricht der Chirurg uber die jungsten Tollwutfalle, den Mangel an Spenderorganen, der "taglich drei Menschen in Deutschland" das Leben kostet, und uber die "schwierige Definition" des Hirntods als Voraussetzung der Organentnahme.

Renate Greinert
http://www.daserste.de/maischberger/sendung_dyn~uid,w0b1lrzknsfqw117xxgtn7nj~cm.asp
Vor 20 Jahren gab Renate Greinert den Korper ihres verungluckten Sohnes zur Organentnahme frei. Diese Entscheidung hat sie zutiefst bereut. Durch den Tod ihres Kindes wurde sie zur vehementen Gegnerin von Organspenden.
"Ich habe festgestellt, dass die Bemuhungen der Arzte nicht meinem Sohn galten, sondern den moglichen Empfangern seiner Organe. Ich hatte meinen Sohn schutzen mussen." Die Lehrerin fordert eine "kritische Aufklarung" uber Organtransplantationen und den umstrittenen Begriff des Hirntods. Sie selbst lehnt jede Manipulation an ihrem toten Korper ab.

(川口浩一さんによる訳)
「20年前にレナーテ・ガイネルトは事故にあった息子の臓器を提供した。この決定を彼女は深く後悔した。自分の子供の死によって彼女は臓器の提供の強い反対者にした。「私には、その医師達の仕事が私の息子ではなく、彼の臓器のレシピエントのためだけに行われているということがはっきりわかった。私は私の息子を守ってやらなければならなかったのに。」この女性教師は臓器移植と争いのある脳死概念に対する『批判的解明』を求めている。彼女自身は自分の死んだ後の体に対するあらゆる操作を拒否している。」


*参照3
ドイツ在住の美濃口坦さんのレポート「臓器移植」
http://home.netsurf.de/tan.minoguchi/ishoku.htm
「臓器とは人命救助の浮きぶくろ」 -- ドイツの脳死臓器移植について --
『あうろーら』1999年秋17号
「『臓器移植』の文化論 ?ドイツから日本の臓器移植について考える」
Navigator No.76(1999年9月20日)独逸回覧記 No.12(MSN Journalで紹介)

ドイツ「臓器の提供、摘出及び移植に関する法律(移植法)」1997年11月5日
http://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/d110.htm

ドイツの臓器提供証明書(ドナーカード)〜臓器移植法第2条による〜
http://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/d110-c.htm





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「脳死移植」推進派が8割にも達したそうです。 ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私のブログをご引用頂きどうもありがとうございました。まだ作成中なのでこれから補充して行きたいと思いますので、またご意見をお聞かせ下さい。ドイツでのテレビ番組は、本当に偶然に見た者ですが非常に興味深かったです。上で引用されていますGeinertさんの発言を訳しておきます。
「20年前にレナーテ・ガイネルトは事故にあった息子の臓器を提供した。この決定を彼女は深く後悔した。自分の子供の死によって彼女は臓器の提供の強い反対者にした。「私には、その医師達の仕事が私の息子ではなく、彼の臓器のレシピエントのためだけに行われているということがはっきりわかった。私は私の息子を守ってやらなければならなかったのに。」この女性教師は臓器移植と争いのある脳死概念に対する『批判的解明』を求めている。彼女自身は自分の死んだ後の体に対するあらゆる操作を拒否している。」
川口浩一
2005/04/15 11:20
川口浩一先生、コメントありがとうございます。先生に訳していただいた部分をエントリーに追加しました。
「てるてる案」を作る時に、「臓器移植法における提供者の同意要件について」(大阪市立大学法学雑誌、36巻3・4号、p.421-442)を参考にさせていただきました。ありがとうございました。
ドイツはおもしろい国ですね。臓器移植法が制定されたのは日本と同じ1997年だけども脳死移植そのものはそれより何年も前から行われていて、周辺の移植件数の少ないデンマークなどの国や日本からの患者も受け容れている。一方で日本と同じように脳死を死とせず本人同意のみによって行う違法性阻却論の法案も提出されていた。日本ではことしの国会でほんとうに、来月にも、改正案が提出されそうですね。河野議員は、オーストリアのような提供拒否意思登録制度も考えているようです。川口先生のブログで河野案の検討が完成するのを楽しみにしております。
terutell
2005/04/15 20:27

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