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zoom RSS 本人が臓器提供の決定を遺族に委ねるという選択肢

<<   作成日時 : 2005/02/05 11:59   >>

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"「死者の人格権」の可能性 臓器移植法改正に向けて"(宮崎真由著、現代文明学研究:第4号(2001):195-216)には、本人が臓器提供の決定を遺族に委ねるという選択肢を認めてはどうか、という提案がある。


2.提案

 以上がこの論文の総轄であるが、最後にひとつ、臓器摘出要件として提案したいことがある。
 私見による臓器摘出要件では多くの臓器移植を待つ患者を救うことができない。しかし、それを理由に死者本人の権利が軽んじて考られるべきではない。そこで以下の臓器摘出要件を提案したい。死者本人が臓器提供をするか否かの決定を遺族に委ねることを認めてはどうだろうか。オランダの臓器移植法(注64)では、本人には臓器提供について4つの選択肢が認められている。すなわち(1)臓器提供の承諾、(2)拒否、(3)遺族へ決定を委ねること、(4)法定代理人による委ねることの4つが選択肢として与えられている。日本では、本人が臓器移植をしてもよいと考えていても、それによってかかる遺族の心的負担を考えて、臓器提供意思の表明をしない場合があると言われている。それなら、本人の自己決定権に基づいて、遺族に臓器提供するかどうかの決定を委ねるというのは、ドナーカードによる意思表示を積極的に促すためにも、有効な選択肢と言うことができる。
 よって、私は臓器摘出が可能なのは、死者本人が臓器提供意思を明示に表明しており、遺族も臓器提供について同意する場合、そして死者本人が臓器提供について遺族に決定を委ね、遺族が臓器提供を認めた場合に、臓器摘出を可能とすれば良いと考える。

(64)オランダの臓器移植法では提供意思について登録制度を採用している。18歳以上の成人は全国民を対象にはドナー書式が送られ、自分の選択を記入したあと送り返して登録するが、登録をしなかった場合には自動的に遺族に決定が委ねられるという規定になっている。詳細は、山下邦也1999.「オランダにおける臓器提供法の現状」p155


私も、この提案はいいと思う。「子どもの脳死・移植」(クリエイツかもがわ、2003年)の著者杉本健郎も、カナダでドナー・カードに記入する時に、「今は意思表示しない。死んだ時に家族と相談してくれ」を選択した、と述べている。カナダでは、健康保険加入や自動車免許取得の時に、臓器提供に関する意思表示を求められるとのことである。


「3 先進各国の脳死・移植 / (1) カナダ・トロント」p.157-158

 トロント在住時、健康保険の手続きをする際、「臓器と組織の提供意志」の項目で三つの選択を迫られた。いずれかを選ばないと手続きが終了しないのである。
1. 私は臓器と組織を他のだれかの命を救うために提供する。
2. 私は今は意思表示しない。死んだ時に家族と相談してくれ。
3. 私は臓器、組織の提供を望まない。
 大変単純明快な設問である。自動車免許取得の時も同じ設問だった。
 私は迷わず「2.」を選択した。カナダは国民皆保険制度である。外来の薬剤提供意外は、入院治療を含めて、すべて無料である。


ただ、杉本健郎は、小児脳神経科医であり、息子が6歳で交通事故で亡くなって脳死と診断されたときに、心停止下で腎臓を提供した経験がある。専門的知識からいっても、体験からいっても、脳死・移植について、いわば「酸いも甘いもかみ分けた」うえでの、選択である。
同じ選択を、20歳そこそこで、身近な人に誰も移植(待機)患者も脳死と診断された患者もいない、医学や看護について学んでいるわけでもない、という人が、家族に選択を委ねる、というのとは、また違うだろう。
また、こどもが、親に選択を委ねる、ということを自ら臓器提供意思表示カードに記入する、というようなことは、無意味といってよい。
臓器提供の選択を家族に委ねることを認めるとしても、それができるのは、少なくとも成人でなければならないだろう。
そのうえで、さらに、「てるてる案」で脳死・臓器移植の際の条件の一つとしている、チェックカードの記入を、この場合に応用してもよいと思う。
チェックカードは、脳死と身体死の違いについて、本人が理解していることを確認するためのもので、健康保険証と同じぐらいの大きさのカード(二つ折か三つ折)で、臓器提供意思表示カードとともに携帯し、チェックカードのすべての項目に自筆のチェックがついていないと、臓器を提供することはできない、としている。
家族に選択を委ねる場合も、これと同じ条件を付けるならば、本人が何もわからないから家族に委ねるのではなく、わかっているから委ねるのだ、という「おとなとしての選択」に、近付けることができると思う。

*参照
てるてる案 Q and A
http://www5f.biglobe.ne.jp/~terutell/teruteruqanda.htm
てるてる案(「脳死否定論に基づく臓器移植法改正案について」現代文明学研究:第3号(2000):139-179)
http://www.kinokopress.com/civil/0302.htm
倉持案による、増補版チェックカード
http://www.lifestudies.org/jp/teruteru05.htm
森岡・杉本案「子どもの意思表示を前提とする臓器移植法改正案の提言」(森岡正博・杉本健郎共同提案、2001年2月14日)
http://www.lifestudies.org/jp/moriokasugimoto-an.htm



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