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zoom RSS 尊厳死法案とALS患者の生存権

<<   作成日時 : 2005/01/30 12:56   >>

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*参照
家族同意による臓器提供 vs. 本人同意原則厳守
http://terutell.at.webry.info/200501/article_16.html

◆2005/01/03 「尊厳死法案を提出へ」『東京新聞』『中日新聞』2005/01/03
 法案は(1)患者が不治で末期状態となった場合、人工呼吸器などで生命を維持するかどうかを患者自身が決める権利を持つ(2)患者らの意思を受けて過度な延命措置を停止した医師は、法的な責任を問われない−を明記する方向で調整が行われている。
 臓器移植法の施行に伴って導入された臓器提供意思表示カード(ドナーカード)と同じように、健康な時に尊厳死を選択する意思を明確にするカードの作成も検討。将来的には運転免許証に尊厳死と臓器移植の意思記入欄を設けることも視野に議論を深める。

◆2005/01/09 「<尊厳死>与党、容認に向け法整備着手へ」 『毎日新聞』1月9日23時28分更新
 自民、公明両党は9日、死期が近く回復の見込みがない患者に積極的な延命治療を施さない「尊厳死」の容認に向けた与党協議機関を近く新設し、法整備やガイドラインづくりに着手する方針を固めた。定義などをめぐり慎重に作業を進め、法案化が可能な場合、議員立法で06年の通常国会に提出する考えだ。

◆2004/01/28 「自公 「尊厳死」懇話会設置へ」NHKニュース
懇話会では、「尊厳死」を認める場合、▽患者の意思をどのような方法で確認するかや、▽尊厳死を選択できる患者の年齢を何歳以上とするかなどについて、法整備も視野に、専門家からの聴き取りなどを行って検討を進めることにしています。こうした「尊厳死」の問題は、脳死状態の人からの臓器移植を認める「臓器移植法」が制定された7年前と同様、生命と倫理の問題を法律でどう規定するかという難しい問題をはらむことから、懇話会としても慎重な議論を行う方針です。 01/28 08:32


てるてる案では、脳死と診断された患者の治療を続けるのか、あるいは停止するのか、あるいは、臓器提供するのか、といった選択を、末期医療の問題としてとらえ、末期医療選択カードを提案しました。

てるてる案 Q and A
http://www5f.biglobe.ne.jp/~terutell/teruteruqanda.htm
杉本健郎さんによる、「てるてる案」への御意見
http://www5f.biglobe.ne.jp/~terutell/teruteruansugimoto.htm

しかし、arsvi.comで取り上げられている問題は、ALS患者の症状が進んで人工呼吸器を着けるとき、患者の生存権が保障されるかどうか、という問題です。現在、人工呼吸器を装着したALS患者の介護の多くが家族の負担となり、社会的な支援がないために、本人の満足という美名のもとに、または家族の負担の軽減という大義名分のもとに、その実は社会福祉予算・医療費の節約という功利的理由で名ばかりの「尊厳死」が合法化されるのではないか、という心配が持ち上がっています。


安楽死・尊厳死:-2005
http://www.arsvi.com/0p/et-2005.htm

◆川口 有美子 2005/01/13 「選択の自由は患者の自由を保障しない」―ALS患者、自己決定による呼吸器の停止?―
http://homepage2.nifty.com/ajikun/memo/20050113.htm
去年、平成16年は過去になく重症疾患の診療倫理指針に関する研究が相次いだ。特に事前指示書や人工呼吸器の停止の倫理規定について研究会などでの発表も多くなってきた。そして患者の自己決定権といいつつ内実は病院経済と合致した功利的な理由[3]による患者の選別が数名の倫理学者や神経内科医によって論じられたし、最重度のALS患者の生は公共的に生存の理由は証明できないから、そのような患者の生存を維持するために社会資源を分配する意味はないとも述べられている。このような研究は現場の要請によって行われたものだ。過剰な悲壮的経験や戸惑い、空しい闘病の観察に疲れた医療者は考えることと感じることを時にやめたくなることもある。 そしてやがて主治医らは困惑する患者の面前に事前指示書をもって呼吸器がいやになった時に備えて自死の「自己決定」の契約を事前に迫るようになるのだろうか。

しかし、事前指示書に対する私の不審感は皮相的観測に過ぎないだろう。冷静に考察すれば、ALSにおける事前指示書にはいくつも実施困難な点を抱えているのだから、実験的に使用されたり実行されたりするはずがない。たとえば、ひとつに患者がいくら呼吸器を外したいと言ったからといって、人工呼吸器を着けている者だけに単純に自死が許されていい訳などないのであり、またひとつは人工呼吸器を装着した患者に対する周囲の者たちのケアの倫理についてはまったく考慮されていないのも不自然なのである。

前者だが、
そして、後者であるが、患者はたったひとりで闘病をしているのではなく、家族や介護や看護をするものの協働労働の中にいる。いわば、ひとつのプロジェクトとして患者の生存は保たれるのだが、そのような経過も決して平坦ではない。長く患者のそばにいれば、あうんの呼吸で患者の意図を知るようになる。ALSとその周囲の者との間には、高齢者介護や言葉を話せる障害者らに比しても密度の濃い人間関係が形成されるので、ただ単にケアするものとされる者との関係以上の関係が築き上げられる。そしてそのような生活の営みの中でALS患者は幾度となく死の絶望と生存の喜びを繰り返し語るし、不服があればその度必ず死にたいなどと口にする。だが、公的に死なせる法がなければ周囲も社会も何とか生かすための努力を続けるものである。そのように患者の日常に携わる者たちの自然で人間的な感情の側面に対して、提案されたいくつかの事前指示書のモデルは明らかに正反対のベクトルを持っていた。それは患者を原子化することで医療者の余分な手間や動揺を省いてくれるだろうが、現場の戸惑いを根本的に解決する道具にはならないだろう。

また、そのような事前指示が患者の最善の利益を尽くし他者に危害を与えないのなら、たとえ治療停止も実施されてよいというのだが、逆に患者の存在が家族やケアワーカーたちにとって既に迷惑な存在でしかなくなってしまっている多くの場合、患者の死によって得をするのは患者ではなくその者たちなのだ。患者の最善の利益どころか周囲の者たちの保身のため、あるいは闘病からの逃避の道具になりえる事前指示書は周りの者の免罪符ともなりえる道具や装置である。そして、それゆえに周囲にとっても簡単には受け入れがたいものであることは患者の最善の利益を尽くそうとしている医療者であればまっすぐに見抜いくはずである。たとえば、事前指示書に従って患者の処置が決定されるとしてもその場にいる者は今の患者の言葉を読み取っていた場合、あるいは主観からそのような事実を認められないと信じていた場合、事前指示緒との齟齬が起こる。そこでまた新たな葛藤が起きるのである。葛藤を避けるために事前指示書が検討されるのであれば、その場でその指示に従えない者達の倫理はどうなるのか。事前指示緒に法的根拠が与えられれば、紙切れのほうが人間のその場の意志疎通やそれは違うのではないだろうか、という勘よりも法のほうが上位になってしまうのである。
誰であっても生死に関わる問題においては、そのようには即物的には労働できないはずであろう。

だから、他の疾病でどうしても治療停止が必要な人がいることは認めても、ALSに関しては病院の専門医たちがその在宅療養の実態を周知していない現実では、医療がその患者にとって真に害なのかを証明する手立てや、潜在的な患者の意志を確かめる方法を確立することが何よりも先決である。それぞれの疾患に特化した個別の治療停止に関するガイドラインの作成は尊厳死の法案化を阻むためにも真摯に求められているのである。

 疾患ごとに施される医療の意味やその線引きがなされれば、癌患者とALS患者とでは呼吸器の利用方法も目的も明らかに違うことがわかるだろう。だが時間をかけて、できうることなら様々な立場の人によって練り上げるべき公共的合意の形成努力も、法が先んじて出来てしまえば空しいばかりである。立法は多数決を原理とするのであってそれで人の生死が決定されるのであれば医療現場における倫理的考察などいらなくなる。そして、法とガイドラインの整合性でもめている臓器移植法の現状を鑑みれば、今回、提案されているという、有志国会議員団による尊厳死法案提出は一挙に脳死を人の死へと押し流す法でもある。(本論では脳死や臓器移植については言及しない)


◆野崎 泰伸 2005/01/14 「生きていたらよいと言える世の中のほうがいい」
尊厳死のこと 西村 泰直(日本ALS協会近畿ブロック) 2005/01/15
2004年12月30日ALS患者さん男性
呼吸器を付けての延命を拒否し死亡

2005年01月10日ALS患者さん女性
呼吸器を付けての延命を拒否し死亡

2005年01月15日現在ALS患者さん女性
呼吸器を付けての延命拒否、非常に痩せられて
体中の痛みで困っておられます、家族も体位交換で
の睡眠不足で体力的な限界が出てきました。

以上の状況が毎年のようにあります。


◆2005/01/28 「重症ALS患者の呼吸器外し、厚労省研究班が是非検討」『読売新聞』2005/01/28朝刊
 「全身の運動機能がまひする難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」患者が装着した人工呼吸器を外すことを容認できるかどうかについて、厚生労働省研究班が検討を始めたことが明らかになった。
(中略)
 人工呼吸器を巡っては、神奈川県相模原市で昨年8月、母親(60)がALS患者の長男(当時40歳)の呼吸器の電源を切って死なせ、殺人罪で起訴され公判中。長男は再三「外したい」と訴えていたという。

   
◆2005/01/28 1月28日付け読売新聞「重症ALS患者の呼吸器外し、厚労省研究班が是非検討」に対する厚生労働省厚生科学研究費難治性疾患克服治療研究事業 「特定疾患の生活の質(QOL)の向上に資するケアのあり方に関する研究」班(H14 年〜H16 年)主任研究者、独立行政法人国立病院機構新潟病院副院長 中島孝によるコメント

  まずこの議論の前に、ALS 患者が人工呼吸器装着した際のケアの質や地域でのサポート体制を充実させることが必要です。その中で、約三分の一のALS 患者が人工呼吸器療法を選択されているようです。しかし、現時点での現実として、「こんな難病になって生きる意味がないから人工呼吸器療法は望まず、尊厳死を望みたい」、「植物状態のようになったら、生きる価値がないので人工呼吸器をはずしてくれ」と、患者や家族が言われることがあります。主任研究者としてはケアの質を高め、工夫することで、このような感情、考え方を乗り越え生きることができると考え、特定疾患のケアの質の向上についての積極的な研究を推進しています。
  具体的には、研究班のテーマとして、ALS と診断され、告知された時点から、インフォームドコンセントとして、どのような治療法、対症療法があるのかの情報を患者と家族に十分に伝えて、自律的に自分の治療法、対症療法をとらえ選択していくことが療養にとり必要であると考えています。そのためには、患者自身が医師に対して事前指示(書)という形式でインフォームドコンセントの内容を記録していくことは、診療プロセスとしても患者の療養の質を高めるために必要と考えています。したがって、事前指示書は、人工呼吸器療法の中断の条件を記載するために書くものではありませんし、医療現場で使われる事前指示書は一方向的でインフォームドコンセントの無いリビングウイルと異なり医師との対話に基づき作り上げていく療養のプロセスと考えています。今後、事前指示書の内容や作成の仕方などについて詳細な研究が必要であり、研究を行っています。読売新聞の記事の中の「呼吸器を外して患者が死亡すると、現行法では殺人罪に問われる可能性が高いが、研究班は容認する場合、どのような条件があれば違法にならないか指針作りを目指す。」と書かれていますが、研究班ではこのような人工呼吸器の中断に対する違法性阻却の条件を探る目的での研究をおこなっているわけではなく、誤解と思われます。
  また、さらに、記事の中で間違った情報があります。 「米国やオーストラリアの一部州は延命治療を拒否する権利を法律で認め、」という文章がありますが、これは別の取材源からの間違った情報であり、当研究班からの情報提供ではありません。正しくは、オランダやベルギーではある一定の条件を満たした患者に安楽死または医師による幇助自殺を認める法律があり、米国のオレゴン州では尊厳死法の名のもとで、医師による幇助自殺を認める法律があります。これらについてはALS 患者がこの問題に巻き込まれているため当研究班では正確な情報の収集をおこなっています。(オーストラリアの一部の州では以前そのような法律が制定された歴史がありますが、現在は廃止されています。)



2005/02/02追加
*参照リンク
お勉強備忘労苦 2005-01-29 治療停止?
http://d.hatena.ne.jp/ajisun/20050129



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尊厳死法案とALS患者の生存権(2)
"尊厳死法案とALS患者の生存権"では、川口有美子さんの「選択の自由は患者の自由を保障しない」を紹介しました。川口さんは、尊厳死法案の代案として「特化した個別の治療停止に関するガイドラインの作成」という提案をしています。 また、コメント欄で、『現代思想』2004年11月号に掲載されている、川口有美子さんの論文「人工呼吸器の人間的な利用」と、橋本操さんの「脳生と呼ばれてなお」を紹介しました。そのとき、私は、「川口さんの論文は長くて深刻ですが、橋本さんの文章は短くて明るいので読みやすいです。... ...続きを見る
てるてる日記@WebryBlog
2005/02/02 18:57

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内 容 ニックネーム/日時
ALS患者にとって「三種の神器」ってものがある。

 人工呼吸器
 
 胃瘻

 意思表示パソコン

これに加え、介護支援と家族の協力があれば、
自宅での生活も可能だね。

川口も厚労省研究班も、実際のALSライフがどんなものか、
能く判ってないんじゃないのw
番長
2005/01/31 02:01
川口有美子さんは、おかあさまがALS患者で、その体験も書いています。
http://www.arsvi.com/0w1/kwgcymk.htm

terutell
2005/01/31 08:15
>患者の自己決定権といいつつ内実は病院経済と合致した
>功利的な理由[3]による患者の選別が数名の倫理学者や
>神経内科医によって論じられたし、最重度のALS患者の生は
>公共的に生存の理由は証明できないから、そのような患者の
>生存を維持するために社会資源を分配する意味はないとも
>述べられている。このような研究は現場の要請によって行われたものだ。
>過剰な悲壮的経験や戸惑い、空しい闘病の観察に疲れた医療者は
>考えることと感じることを時にやめたくなることもある。
>そしてやがて主治医らは困惑する患者の面前に事前指示書をもって
>呼吸器がいやになった時に備えて自死の「自己決定」の契約を
>事前に迫るようになるのだろうか。

ALS介護経験者にしては、随分とステロタイプな物言いだね。
難しいこと考える前に、金と人手の問題をどう考えてるんだろう。
番長
2005/01/31 22:48
良い医療も手厚い介護も、金と人手の問題なんだよね。
悲壮感とか、死によって得をするとか、んな事よりも金。
金をどこからぶん取って来るか。乏しい予算と少ない人手の中、
思想風味の感想文書いても、事態は何ら改善しない。
改善しないツケを、医療従事者に回して欲しくはないものだ。
番長
2005/01/31 22:48
なるほど。私は、「事前指示書」というのがなんなのかわからなかったのと、厚生労働省研究班主任の中島氏のコメントにも「事前指示書」のことが書いてあって、どうやらこれはポイントの一つらしいと思ったこと、それから、川口さんは、尊厳死法案に反対でその代案として「特化した個別の治療停止に関するガイドラインの作成」という提案をしているので、これは伝達する価値がある情報だと思って、引用しました。もとの文章はもっと長いのでリンク先を御覧いただければと思います。介護の具体的な事柄については、『現代思想』2004年11月号掲載の「人工呼吸器の人間的な利用」に述べられています。ここにも、思想的なことも述べられていますが、それは厚生労働省に働き掛けていく必要から出て来たもので、直接、現場の医師を批判する意図では書いていないと思います。
terutell
2005/01/31 23:47
人工呼吸器・胃瘻ではなくて経鼻栄養・意思表示パソコン・介護支援と家族の協力があって自宅で生活しているALS患者のひとり、橋本操さんも『現代思想』2004年11月号に「脳生と呼ばれてなお」を載せています。12年前、医局は呼吸器を着けることを躊躇したが、操さんは死にたくなかったので、MSWが奔走して、看護の体制を整えてくれたそうです。夜勤3人と昼勤3人の体制で、民間の看護婦派遣会社を利用したり、また体制が整うまで、複数の大学に介護アルバイトを募集した。保健所、訪問看護ステーション、家庭医、大学病院などあらゆる手を利用したそうです。川口さんの論文は長くて深刻ですが、橋本さんの文章は短くて明るいので読みやすいです。特に食べもの・飲み物の話が多い。2000年にデンマークの国際会議に参加した話もあります。川口さんは母親を介護した立場、橋本さんは介護された立場で娘は幼すぎて介護者になれなかった、という違いは、大きいのだろうか?
terutell
2005/02/01 00:05
http://www.sankei.co.jp/life/kaeyo/060202_001.htm
産経新聞記事ご参考にしてください。
シシリー
2006/02/05 00:07

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