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help リーダーに追加 RSS 六本木ヒルズの回転扉事故とイラクの日本人誘拐事件(2)

<<   作成日時 : 2004/04/17 16:34   >>

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それにしても、回転扉の事故でも、イラクの誘拐事件でも、被害者の家族や本人に非難が集中したのには、報道の責任も大きい。それも、無自覚に、伝えるべき情報の取捨選択が行われていた側面が大きいのではないか、と思います。

回転扉の事故では、まず最初に、しまりかけた扉にこどもがかけこんではさまれた、という報道があった。扉の脇には駆け込み防止の安全柵があったとわかると、その柵をくぐってとびこんだのだ、と報道された。しかし、その後で、防犯ビデオの映像で確かめてみると、男の子が回転扉にはさまれる直前、まだ扉と脇の柱との間には1メートルの距離があった。男の子は安全柵をくぐってはおらず、その左側を通っていた。そして、男の子がちょうど回転扉に入りかけたとき、反対側から扉の中に入った人がいたために回転速度が上がったことがわかった。

そうすると、はじめから、狭いしまりかけの空間に頭を突っ込んだのではなく、まだ充分すき間があると思ってのぞきこんだか入ろうとしたかしたときに、急に速度を増した、2トンの重量の扉が頭に当たり、その衝撃で気絶し、あっという間に脇の柱に押し付けられて死んだ、という可能性もある。
このような事故では、よくある躾の悪いこどもと躾のできない親の組み合わせで事故が起こった、という先入観が、報道をした人間の側にもあり、何も積極的直接的に親を批判せずして、自然と、読者や視聴者が、事故は躾の悪い親子の自業自得と思いやすいような表現を使って報道していた可能性がある。

実際には、六本木ヒルズの回転扉の事故では、その扉の構造そのものに問題があるし、ビルでは何度も事故が起こっているのにその安全対策を怠っていた事実が明らかになっている。
http://youzo.cocolog-nifty.com/data/2004/03/post_60.html
http://atasinti.chu.jp/dad/archives/000207.html
http://4946.seesaa.net/article/96180.html

イラクの誘拐事件でも、アルジャジーラで放送された誘拐犯人送付のビデオには、人質が刃物を突きつけられて脅されている場面が映っているのに、日本では、初め、そこを省いて放送し、その後は、心配のあまり、自衛隊撤退の要求や要求を聞き入れられない怒りをそのまま表わす家族の表情を、これでもかと、むきつけに、放映した。もっとも、涙を流して苦しむ家族の姿も繰り返し映した。

しかし、報道された家族の姿は、多くの視聴者に、自業自得なのに、あまりにまわりの人間への配慮がなさすぎる、傲慢だ、という印象を与えた。

これはもともと、報道に当たった人間の側に、自業自得だ、という先入観があり、それと意識せずして、何も積極的に直接的に批判せずして、自業自得、あるいは、自作自演、と思いやすい報道を繰り返した、ということがあると思います。

そして、実際に誘拐犯との交渉にあたる政府にとっては、自衛隊派遣の政策は批判されるし、国際間の駆け引きもたいへんだし、なんということをしてくれたんだ、というので、「自業自得じゃないか」という批判だけでなく、インターネットの掲示板でせいぜい暇つぶし憂さ晴らし程度に書き込まれていた「自作自演」説までが、マスコミにとりあげられるほどになってしまいました。

自衛隊派遣についても、それでいいのかどうか、国を挙げて討論する価値がある。USAがイラクの市街を攻撃し、多くのイラク市民が殺されて恨みをかっているのに、日本はUSAの追随をしているとみられてもいいのか、という問題もある。

そして、回転扉やビルの安全対策を見直すことは、社会全体の公益にかなう可能性があるし、イラクに派遣した自衛隊をどうするか、USAとの関係をどうするか、という議論も、社会全体の公益にかなう可能性がある。

にもかかわらず、そういう問題には目を向けず、事故や事件に巻き込まれた個人の「躾」「自己責任」といったものが非常にクローズアップしてとりあげられ、一番苦しい目にあったはずの人が、多くの人に迷惑をかけた、加害者として非難されることになる。

六本木ヒルズの事故では、ビル会社や回転扉のメーカーの責任が追及されて多額の補償を求められると、会社が左前になって社員が路頭に迷うじゃないか、遺族は賠償金を手にして随分もうかるじゃないか、という意見が出てくる。遺族が国の責任まで追及したら、税金が賠償に使われるのはけしからん、という意見も出てくる。

イラクの誘拐事件では、その解決のために多額の税金が使われて日本国民全体が被害を被ったじゃないか、人質とその家族は、世間や社会や国家に大きな迷惑をかけた、という意見が出てくる。

この傾向は、なんなのでしょうか。

世間というのはそうしたものだ、ということは、まあ、いえるでしょう。
しかし、世間とはそうしたものであるがために、街全体の安全のために役に立つかもしれないこと、社会のありようをかえるかもしれない重要なことを、真剣に議論しようとせず、ただただ、個人の責任を追及して、何か不運に巻き込まれた人はその人の人柄のせいである、ということで済ましてしまうのは、まわりまわって、そうした世間のひとりである、このわたし自身や、そこにいるあなた自身にとって、ちっとも、いいことないんじゃないか、といいたくなります。

「Yahoo!ニュース > 海外 > 中東、アフリカ > イラクで日本人拘束」掲示板に、人質の御家族を非難する人々から、名文であると絶賛され、何度も引用されている、「子を持つ親として思う」(メッセージ番号: 41960, 2004/04/13)という投稿があります。それは、「人に後ろ指をさされない」「人に迷惑をかけない」という人の道を説くものでした。まだ人質が解放されず、家族が苦しみの渦中にあるときに。これは善意と優しさから書かれたものですが、名文と言われるのは、テレビでニュースを見る人々が、人質の御家族たちから見せてほしかったしおらしいドラマをじょうずに表現したからだと思います。投稿した人もこれを称賛する人も気づいていませんが、つまりは、そこにあるむきだしの苦しみよりも、自分たちの見たいドラマはこういうものだからそれらしく振る舞え、というものです。
それゆえ、私は、「『子を持つ親として思う』を読んで(1)(2)(3)(4)(5)(6)」「『子を持つ親として思う』(41960)について」という投稿で、人質の家族に対して残酷であると批判しましたが、私の批判は、かえって、感情的で想像の産物にすぎない、と一蹴されました。たとえば、「『子を持つ親として思う』を読んで(5)」(メッセージ番号: 43322, 2004/04/13)に対して、「要するに、単なる感情論ですか…。社会における自己責任については、どうお考えなのかな?」(メッセージ番号: 43374, 2004/04/13)、「これは貴方の私見であり、推測を含むものです。証拠能力はありませんから、これに関して意見や質問は出来ません。」(メッセージ番号: 43516, 2004/04/13)という反論が来ました。

*参照
「Yahoo!ニュース > 海外 > 中東、アフリカ > イラクで日本人拘束」掲示板
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=topics&board=552019567&type=r&sid=552019567

「子を持つ親として思う」
メッセージ番号: 41960, 45771

「子を持つ親として思う」に賛同する投稿
メッセージ番号: 41993, 41996, 42027, 42037, 42049, 42051, 42081, 42109, 42121, 42124, 42127, 42137, 42138, 42151, 42153, 42156, 42158, 42159, 42165, 42180, 42185, 42220, 42221, 42241, 42246, 42300, 42345, 42367, 42394, 42395, 42399, 42407, 42813, 42839, 42850, 42885, 42903, 42959, 43012, 43075, 43283, 43360, 43368, 44319, 44703, 44768, 45043, 45114, 45810, 45857, 45880, 45916, 45946, 45960, 46016, 46043, 46624, 47520, 47542, 47586, 47605, 47646, 47650, 47738, 47760, 47783, 47806, 47817, 47829, 47856, 47857, 47864, 47874, 47933, 47934, 47939, 47942, 47965, 47984, 47990, 48073, 48113, 48118, 48141, 48164, 48171, 48173, 48196, 48217, 48250, 48548, 50783, 51013, 51205, 51047, 51235, 51709, 51972, 53734, 55287, 56626, 56871, 56932, 57000, 57512

「子を持つ親として思う」に批判的な投稿
メッセージ番号: 42136, 42233, 42372,
および,
「子を持つ親として思う」を読んで(1)(2)(3)(4)(5)(6)
メッセージ番号: 42704, 42726, 42815, 43003, 43322, 45574,
および、
メッセージ番号: 48028, 48037, 48181, 53518,
および、
「『子を持つ親として思う』(41960)について」
メッセージ番号: 48775, 48785

「『子を持つ親として思う』を読んで」への反対意見
メッセージ番号: 42721, 42739, 42740, 42741, 42744, 42750, 42773, 42783, 42802, 42814, 42820, 42834, 42842, 42878, 42893, 42974, 42974, 43015, 43021, 43039, 43049, 43066, 43097, 43114, 43115, 43116, 43139, 43148, 43188, 43181, 43238, 43245, 43248, 43287, 43359, 43374, 43395, 43418, 43456, 43464, 43471, 43516, 43884, 45711, 45821, 46258, 46621, 46650, 46813, 47101, 47406, 52136,
「『子を持つ親として思う』(41960)について」への反対意見
メッセージ番号: 48807, 48835, 48842,

「『子を持つ親として思う』を読んで(5)」
----------------------------------------
>「人に迷惑を掛けないこと」「後ろ指を指されるようなことをするな」
>
>ご両親方。
>これを親から教わりませんでしたか?何故それを子供に教えられなかったのですか

>ましてや今回の事件は、「人に」以上に、国家・国民に迷惑を掛けています。

↑の意見にまた、多くの人々が賛同する。
これはいったいどういうことでしょうか?

現在、人質になっている日本人以外に、多くの国の人々が、イラクで誘拐されたり、
また解放されたり、という事件が起こっている。これは、もとはといえば、USAのイ
ラクに対する政策に問題があるからでしょう。
誘拐する側は、どんな目的でイラクに入ってきたのか頓着せずにまず攫ってみて、そ
れから返す、というようなことを繰り返している。
USAのイラク占領政策を改めさせるために、いやがらせを繰り返しているのだと思い
ます。

人質になっている3人は、それぞれ、イラクのストリートチルドレンの生活を支援し
たり、劣化ウラン弾の被害について取材したり、イラクの現状を報道しようという目
的を持ってイラクに行った。誘拐は、この3人の目的を邪魔し、心身の自由を奪い、
日本の自衛隊派遣に対する意見さえ、本人の意思がもともとどうであったかにかかわ
らず、銃で脅して言わせるほどです。

このような犯罪をイラクの人々が起こしたことを、人質になった3人自身も悲しく
思っていると思う。もともと、イラクの友人として行ったのでしょうから。

人質の3人は何を考えているのだろうか。望んでいるのだろうか。

誘拐されたことについて、自分たちの用心の悪さを後悔しているかもしれない。しか
し今一番望んでいることは、自分たちの命と心身の自由が保障されることは勿論、で
きるだけ平和的なかたちで、この誘拐事件が解決し、イラク側にとっても日本側に
とっても損失が最小限に収まることだと思います。

そして、人質の家族は、いまこの囚われの身の人々の心身を救うことを第一に考えて
おり、その生き方を批判するようなことは、とてもできないでしょう。なんとして
も、全身全霊を挙げて守りたい、救いたい、という思いで一杯でしょう。その家族た
ち自身が今、心身ともにつらい状態でしょう。

このような人々に、

>「人に迷惑を掛けないこと」「後ろ指を指されるようなことをするな」
>今回の事件は、「人に」以上に、国家・国民に迷惑を掛けています。

ということは、残酷極まりない。
----------------------------------------


*参照
江川紹子ジャーナル
「『自己責任』と想像力」(2004/04/15)

http://www.egawashoko.com/menu4/contents/02_1_data_29.html
例えば、高遠菜穂子さんの弟の修一さんが声を荒げた場面を見て不愉快になった、という人がいる。
しかし、別の時に私が見た修一さんは、むしろ逆だった。話をしているうちに感情がこみ上げてきて話を続けることができなくなった妹の井上綾子さんと代わり、静かに「僕は日本国を信じてます」と語っていた。
とりわけテレビは、短い時間でインパクトのある映像や声を、その前後を切り取って流すことが多い。静かに穏やかに語っている部分より、怒りや涙といった感情的な場面がどうしても選ばれてしまう。新聞などの写真もそうで、被写体が泣いたり怒ったりすると、一斉にフラッシュが焚かれる。



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内 容 ニックネーム/日時
トラックバック、ありがとうございます。

あたしンちのおとうさんの独り言さんが
http://atasinti.chu.jp/dad/archives/000207.html 
でわたしの見解は全く同じく
「これだと、あー、しまっちゃう、ってな感じで、aのところに飛び込もうという心理が働いても不思議ではありません。」
とおっしゃっているのは、「仲間・仲間」という感じでうれしかったです。
それにしても、たしかに本来は人の心理など、一般的に重要な面について報道は強調せず
出来事だけを強調という傾向は強くなって来た、つまり取材力不足を感じますし、
結果として、個人や家族などについての記事の方が多くなったという点は
ご指摘の通りと感じました。
酔うぞ
2004/04/18 12:40
>酔うぞさん
書き込みありがとうございます。
あたしンちのおとうさんの独り言さんと、酔うぞさんのサイトでは、図解でわかりやすく回転扉のことが説明されていて、とても参考になりました。おふたりとも、まったく別々に、こういう回転扉は危ない、という結論に達しているのも、おもしろいですね。
どうぞまた遊びに来てください。
てるてる
2004/04/18 19:18
今、Yahoo!掲示板をみてきました。正直驚きました。人質たちに対する非難の多さに…。彼らに対するバッシングも一部の”心無い人”や責任の追及を恐れた政治家たちの言い逃れのようなものだと感じていたので…。世間一般の見方がこんなものだとは。
実際、自分は被害者たちに対する関心はさほど高くなかったのですが─運が悪かったとしか考えてなかった─もっとネットなどでいろいろとイラクに関する情報を集めたいと思いました。(この記事に限らずてるてる日記さんが参照として出されたURL、助かります。ありがとうございます)
あと、回転扉の事故についても被害者遺族に対する非難があった事すら知りませんでした。
お恥ずかしい限りです…。
(仮)mitugu
2004/04/24 11:05
mituguさんへ。
書き込みありがとうございます。参照URLがお役に立てると私もうれしい。
私はけさ地元の朝刊の読者投稿欄に、Yahoo!掲示板と同じような、人質とその家族を批判する投稿を見つけて驚きました。そのうちの一通は匿名です。これでは2ちゃんねるやYahoo!掲示板と変わらないではないか……。地方新聞といえどもマスメディアがインターネットの匿名掲示板と同じようなことをしてもいいのだろうかと、疑問に思いました。
てるてる
2004/04/24 13:45

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